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工作機械受注の外需、急減速

日経平均株価は昨年末を下回っており、頭打ちになってきている。過去2ヵ月、製造業の収益を左右する円ドル相場が110円前後の狭い値動きとなっているからだ。だが、日米の消費者物価の動向は円高ドル安を示唆している。22日発表の5月の消費者物価指数によれば、生鮮食品を除く総合は前年比0.7%と4月と同じ伸びであり、2月の1.0%から低下しつつある。生鮮食品・エネルギーを除く総合(コア)は前年比0.3%と2ヵ月連続で上昇率は低下した。一方、米国の消費者物価指数コアは5月、前年比2.2%と前月よりも0.1ポイント上昇し、昨年2月以来の高い伸びとなった。こうした日米の消費者物価の変化の違いによって、物価上昇率格差(米国―日本)は2月の1.3ポイントから5月には1.9ポイントに拡大している。米国の物価上昇率が相対的に日本よりも高いことは、ドルの価値を下げ、円の価値を上げることになる。

米10年債利回りは、賃金の上昇などにより、5月半ばには3.0%を超えていたが、過去1ヵ月は3.0%を下回っている。日本の10年債利回りはほぼゼロで推移しているため日米の利回り格差は米利回り次第ということになる。米利回りが上昇すれば利回り格差は拡大し、円安ドル高に振れやすくなる。

日米利回り格差の拡大は円ドル相場を動かす要因ではあるが、今は日米物価上昇率格差が拡大しており、実質利回りの格差は今年1月末の1.25ポイントから5月末には0.92ポイントに縮小しており、こうした実質利回り格差の縮小が円を底堅くしているのだろう。

5月の日本の輸出は前年比8.1%伸びた。前年よりも円高ドル安だったが、自動車や半導体製造装置が好調であり、1月以来の高い伸びとなった。だが、昨年夏から秋にかけてのような2桁増からは減速しており、世界経済も緩やかな成長鈍化局面にあることが窺える。

昨年の対中輸出は前年比20.5%も伸びた。その反動もあり、今年5月までの伸びは11%ほどへと半減している。5月は13.9%増加したが、特に、半導体製造装置や金属加工機械などの一般機械が30.6%も伸び、対中輸出を牽引している。昨年の対中の一般機械(前年比31.1%)並みのペースで今年の一般機械の輸出も伸びているのだ。

金属加工機械の対中輸出額は5月、18.9%増だったが、対世界では-0.4%とこれまでの2桁増から一転マイナスとなった。対米でマイナスになったほか、対韓国でも不振となり、対アジアが前年比1.0%へと大幅に鈍化した。金属加工機械の対アジア向けは総額の60.5%を占め、半導体製造装置に至っては85.2%がアジアへの輸出だ。こうした基幹輸出製品はアジアに依存しているわけだが、そうした機械を用いて生産された最終製品の需要が、徐々に弱くなっていることが金属加工機械の輸出から読み取ることができる。

工作機械受注は設備投資に先行する指標だが、その雲行きは怪しくなってきている。日本工作機械工業会によれば、昨年の工作機械受注総額は前年比31.6%と2014年以来3年ぶりの高い伸びとなった。特に、昨年10月は49.8%も急増したが、今年2月以降伸び率は連続で低下し、5月は14.9%に鈍化した。なかでも外需は5月、9.5%と昨年11月の65.4%をピークに急速に鈍化している。内需は今年1月の47.3%から5月には23.3%に落ちており、外需に遅行する傾向がみられる。

昨年、工作機械受注の外需は41.2%伸びたが、地域別ではアジアが79.1%と欧州の19.1%や北米の13.7%を大きく上回った。なかでも中国は113.2%と前年の2倍超に拡大し、外需の34.2%を占めた。ところが、その中国は3月、前年比2.2%減、4月も2.3%減と2ヵ月連続のマイナスに転じた。昨年の急増の反動減とも考えられるが、トランプ大統領による米中貿易戦争による世界経済の悪影響の兆しとも受け取ることができる。

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