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理屈が通じない政府と経団連

週刊マーケットレター(2015年10月19日週号、No.537)

      2015年10月18日          





為替レート

10月16日(前週)

1ヵ月前

2014年末

  円ドル

119.43(120.21)

120.55

119.77

 ドルユーロ

1.1347(1.1355)

1.1291

1.2096

 ドルポンド

1.5437(1.5313)

1.5493

1.5576

 スイスフランドル

0.9533(0.9614)

0.9707

0.8840

短期金利(3ヵ月)

 日本

0.07929(0.08214)

0.08143

0.11214

 米国

0.31715(0.32060)

0.33960

0.25520

 ユーロ

-0.05500(-0.04571)

-0.04000

0.05786

 スイス

-0.72400(-0.72400)

-0.73100

-0.06300

長期金利(10年債)

 日本

0.315(0.320)

0.365

0.325

 米国

    2.03(2.09)

2.29

2.17

 英国

    1.80(1.86)

1.94

1.76

 ドイツ

0.55(0.61)

0.77

0.54

株 式

 日経平均株価

18291.80(18438.67)

18171.60

17450.77

 TOPIX

1505.84(1515.13)

1472.60

1407.51

 NYダウ

17215.97(17084.49)

16739.95

17823.07

 S&P500

2033.11(2014.89)

1995.31

2058.90

 ナスダック

4886.68(4830.47)

4889.23

4736.05

 FTSE100(英)

6378.04(6416.16)

6229.21

  6566.09

 DAX(独)

10104.43(10096.60)

10227.21

9805.55

商品市況(先物)

 CRB指数

199.44(202.68)

198.97

229.95

 原油(WTI、ドル/バレル)

47.26(49.63)

47.15

53.27

 金(ドル/トロイオンス)

1183.1(1155.9)

1119.0

1184.1

■主要マーケット指標

理屈が通じない政府と経団連

米政策金利と円ドル相場との関係は複雑であり、米政策金利のFFレート引き上げが円安ドル高をもたらすかといえば、必ずしもそうではない。今回のように利上げがずいぶん前から仄めかされていれば、実際に、利上げが行われたとしても、為替相場にほとんど織り込まれてしまっているため、円ドル相場への影響は限定的だと思う。一旦、利上げが実行されれば、短期間に何度も引き上げられるが、はたしてそうした利上げが、円ドル相場にどのように影響するかは定かではない。ただ、1ドル=70円台から120円台へと大幅にぶれていることから、金融政策よりも実体経済により沿った変化を示すことになるのではないか。

ここまでの円安ドル高は政府・日銀の誘導策が首尾よく機能したからである。だが、政府・日銀の政策が、ほとんど日本の家計部門に好影響をおよぼさなかったことがあきらかになり、国民は政府・日銀の財政・金融政策に対して疑問を抱いている。安倍首相はいままでの政策に輪を掛けて酷い政策を打ち出したが、思いつきの陳腐な政策に国民もあきれ果てているのではないだろうか。

どのような政策でもよい、何か打ち出せばよいのだという姿勢がありありと感じられる。安倍内閣が発足してから3年近く経過するが、政策を出すだけで過去を振り返り、これまでの政策がどうであったのか、検証・反省はない。

例えば、雇用者報酬は安倍政権発足の2012年10-12月期から今年4-6月期を比較すると、名目では3.2%増加しているが、実質では0.3%減少している。名目では2年半の比較でプラスだが、金融危機後の2008年10-12月期比では0.7%下回っているし、1997年10-12月期比では8.8%も少ない。これだけをみても、経済の中心を成す家計部門の経済状態が良くなっていないことがわかる。家計部門が改善しなければ、経済が良くならないことはだれでも認めざるを得ない。円安ドル高や株高などが進行しても家計部門はなんら好転しないことが証明されたのだ。

二番煎じ、三番煎じの政策を出しても、為替・株式相場は踊らないだろう。黒田日銀総裁がさらに国債買取額を増やしたとしても、もはや円安ドル高ではなく、円高ドル安が進行し、それに連動して株安も一層進むことになるだろう。投機家も遣りっ放しで、過去を顧みない政府・日銀に反旗を翻すはずだ。

15日、九州電力川内原発2号機が再稼動した。福島原発の大事故などなかったかのような判断だ。事故が起これば、経済などといっている状態ではなくなることが、福島を経験してもわからないのである。政府と財界は金が命よりも大事なのだ。経団連はなぜかくも堕落しきったのだろうか。放射能によって国土が汚染されれば住むことさえできなるのだが、そんなことにはまったく無頓着、目の前の金がほしいのだ。大半の経営者が雇われの身でありながら、なぜそこまで金や目先のことしか考えられないのだろうか。経団連は原発再稼動に武器輸出と金になることにはすべて取り組む姿勢を打ち出している。政府や経団連には論理的思考は通用しないのである。

 原発事故を起こした張本人である東電ですら、原発をまだ稼動させたいという。国民から7兆円近い巨額の金を援助してもらっていながら、しかも援助額はどのくらいまで膨らむかわからない。7兆円でさえとんでもない金額だが、何十兆円にも膨らむだろう。日本の奨学金事業の予算は2014年度で1.17兆円にすぎない。希望者すべてに奨学金が行き渡らないが、大事故を起こした東電には、国からいくらでも援助を受けられる。しかも奨学金は将来に期待できるけれども、東電に投入する資金はどぶに捨てるのと同じであり、日本を食い潰すものだ。原発再稼動は日本を危機に陥れる可能性を高め、自壊への道を開くことなのである。

戦争法案可決や原発再稼動は、第2次大戦前の理不尽な日本の軍人・政治家たちの行動となんら変わらない。戦争法案は悲惨な第2次大戦の歴史を踏みにじるものであり、戦争肯定の法案である。日本はなぜ大戦を仕掛け、無条件降伏まで無謀な戦争を終わらせることができなかったのかについて、徹底的な究明がなされていない。戦前も今も日本人の思考の曖昧さが、つねに大事な場面では顔を出し、国体という大儀が理屈を蹴散らしてしまう。

今は安倍首相のワンマン政治であり、自民党の議員は安部首相の思いを忖度する僕にすぎない。憲法を憲法と思わない人間が首相を勤め、そうした首相を退場させることができないのは、日本の幼稚な飼い慣らされたおとな社会の存在が大きい。未熟で偏狭な思想がこれ以上拡散しないことを願うばかりである。