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財務官僚の直言に期待する

3月12日、財務省は決裁文書の改竄を認め、安倍内閣や財務省は窮地に立たされたが、日経平均株価は13日まで4連騰、円ドル相場は12日、円高に振れ、週末には106円まで買われた。株式も為替も森友学園の問題を気に掛けてはいない。だが、3月第1週まで外人は日本株を9週連続で売り越しており、その間の売り越し額は2.4兆円に達する。外人売りに個人、投資信託、事業法人、信託銀行が買い向かっている。内閣人事局がすべての高級官僚の人事を握っているのだから、改竄の責任は安倍首相にあるのだ。外人は安倍政権を見限っているのだろうか。

安倍政権が崩壊すれば、日銀の金融政策も見直されることになる。まだ金融緩和が足りないという副総裁らが国会で同意を得たが、後ろ盾がいなくなれば、今の異常な金融政策を続けることはできないだろう。外人は円高ドル安が一気に進行し、株式は急落するというシナリオを描いているのかもしれない。安倍内閣支持率も急落しており、政治の歯車は軋んできている。

外人に比べて国内の株式関係者は政治に無頓着であり、安倍首相の支持派が多いのだろう。国内勢は国を挙げての株価対策により、日経平均株価が2万4,000円台まで上昇したことを評価しているのだと思う。だが、国家介入により株式・債券相場は適正値がわからなくなってしまった。安倍政権は市場を崩してしまったのだ。

円ドル相場も日銀が国債購入額を実質的に縮小せざるを得なくなっていることから、円高ドル安が顕著になっている。2月の米消費者物価指数(食品・エネルギーを除く)は前年比1.8%と前月同様の伸びで安定しているほか、小売売上高は2ヵ月連続の前月比マイナスとなり、米国経済は大幅な利上げを実施する状況ではない。ユーロ圏の物価(HICP)も2月、年率1.1%と昨年11月(1.5%)から3ヵ月連続の低下である。こうしたユーロ圏のインフレ後退によって、対ユーロでも円高に転じている。

外人の日本株売買(全国証券取引所)を地域別にみると、昨年、欧州が76%を占めており、外人といっても欧州が圧倒的なのだ。公表済みの今年1月分まで3ヵ月連続で欧州は日本株を売り越している。円高ユーロ安に日本の政情の混迷が加われば、欧州からの売りはさらに加速するのではないか。

東証1部の部門別売買状況によれば、欧州とは対照的に、投資信託は昨年11月から買い越している。日経平均株価がピークを付けた今年1月は2,557億円もの買超である。2月は1,707億円、3月第1週も888億円それぞれ買い越している。投信の買い越し額のピーク近辺が株価のピークとなることが過去のデータから窺うことができる。こうした高値掴みの投資信託の売買動向は株価を占う上で重要なシグナルとなる。

 

今の日本政治は異常な状態にある。特異な思想の持主が権力を握っているからだ。それも夫婦揃って、時代錯誤も甚だしい戦前の教育勅語の信奉者なのである。国体思想を蘇らせ、本音では天皇を主権者にしたいのではないか。日本会議や神道政治連盟所属の多くの国会議員が安倍政権を支えているのである。戦後の政治史を振り返っても、これほど右旋回した時代はない。

「2014年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた」。「安倍首相夫人が森本学園を訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載」(2015年1月)。2015年5月、財務省近畿財務局と森友学園が定期借地契約を締結。2015年9月、安倍昭恵氏が新設予定の小学校の名誉校長就任を受け入れ。2016年3月、森友学園は地中から新たなごみが見つかったと近畿財務局に報告。2016年6月、近畿財務局は鑑定価格(9億5,600万円)からごみ撤去費8億1,900万円などを差し引いた1億3,400万円で森友学園に国有地を売却。こうした経緯をみるだけで、いかに安倍昭恵氏が森本学園の土地取得に重要な役割を果たしていたかがわかる。

数名の国会議員の秘書も財務省に接触するなど政治が大々的に森友学園への土地売却を後押しした。なぜこれほど私立小学校の開校に政治が介入したのだろうか。それは森本学園が右派の政治家の考えを基本にした教育方針を掲げていたからだ。なかでも教育勅語の教育方針に感涙した安倍昭恵氏の影響は計り知れない。森友学園にのめり込んでいき、財務省に只ならぬ影響力を行使したのだろう。そうでなければ、特例扱いで、鑑定価格の14%もの格安で購入できるはずがない。過去にこのような例はないのだから。

安倍昭恵氏等が関わっているから文書を改竄せざるを得なくなったのだ。官僚が自ら文書の改竄をするなど考えられないことだ。改竄しなければならないような文章を書くのは余程の事情があったからだ。余程の事情というのは安倍昭恵氏の存在なのだろう。前例踏襲型の官僚が過去にない異例の土地売却などするはずがない。強力な政治力が働いたからこそ森本学園は格安で土地購入を契約することができたのである。

政治が関与していながら、官僚に責任を押し付ける。だが、これほど証拠が挙がっているのだから、政治家は逃げることはできない。まだ、辻褄合わせに終始していれば、次々にぼろが出てくるはずだ。そして最終的には自壊することになるのだが。

部下の首を切り、責任をすべて部下に押し付けている麻生財務大臣。このようなぞんざいな扱いをされてもなお内閣を庇い続けるのだろうか。財務官僚が真実を語ってしまえば、すぐに決着がつくのだが、いつまでぐずぐずしているのだろうか。財務官僚は国民に真正面に向き合い直言すべきだ。

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