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企業の支払利息、ピークから31兆円減

週刊マーケットレター(2015年10月12日週号、No.536)

為替レート

10月9日(前週)

1ヵ月前

2014年末

  円ドル

120.21(119.88)

120.52

119.77

 ドルユーロ

1.1355(1.1208)

1.1206

1.2096

 ドルポンド

1.5313(1.5178)

1.5366

1.5576

 スイスフランドル

0.9614(0.9711)

0.9753

0.8840

短期金利(3ヵ月)

 日本

0.08214(0.08157)

0.08714

0.11214

 米国

0.32060(0.32710)

0.33300

0.25520

 ユーロ

-0.04571(-0.04429)

-0.04286

0.05786

 スイス

-0.72400(-0.73100)

-0.73100

-0.06300

長期金利(10年債)

 日本

0.320(0.315)

0.360

0.325

 米国

    2.09(1.99)

2.20

2.17

 英国

    1.86(1.70)

1.87

1.76

 ドイツ

0.61(0.51)

0.72

0.54

株 式

 日経平均株価

18438.67(17725.13)

18770.51

17450.77

 TOPIX

1515.13(1444.92)

1507.37

1407.51

 NYダウ

17084.49(16472.37)

16253.57

17823.07

 S&P500

2014.89(1951.36)

1942.04

2058.90

 ナスダック

4830.47(4707.77)

4756.52

4736.05

 FTSE100(英)

6416.16(6129.98)

6150.56

  6566.09

 DAX(独)

10096.60(9553.07)

10303.12

9805.55

商品市況(先物)

 CRB指数

202.68(194.10)

195.79

229.95

 原油(WTI、ドル/バレル)

49.63(45.54)

44.15

53.27

 金(ドル/トロイオンス)

1155.9(1136.6)

1102.0

1184.1

■主要マーケット指標

企業の支払利息、ピークから31兆円減

9月の米雇用統計が予想を下回り、9月開催FOMC議事録公表により利上げ時期の後退が強まったことから、週末値でのドルユーロ相場は7週間ぶりのユーロ高ドル安となった。円ドル相場は日銀の緩和観測への期待などから、週間ではやや円安に振れた。米利上げ観測の後退の影響は大きく、主要国株式は大幅に反発し、ユーロ高ドル安によって、ドル建ての商品相場も軒並み上昇した。いずれにしても、FRBの金融政策の変更は世界の金融市場を少なからず揺さぶることを改めて示した。

とはいえ、4-6月期の名目GDPが前年比3.7%成長している米国経済の実態から判断すれば、ゼロ金利が長期化すればするほど、実体経済と金融経済の開きは解消されず、経済は矛盾を抱えた状態が続くことになる。株式や商品市況の反発は利上げが先延ばしされそうだという期待だけであり、実体経済への期待ではないだけに、株式や商品への影響は一時的なものにとどまるだろう。

マネーコストに依存する金融経済は金融政策に著しく反応するが、金融政策はものやサービスを提供する実体経済にさしたる影響をおよぼさない。生産コストに占める利息の

比率は小さく、しかも今の大企業は巨額の内部資金を保有しているからだ。企業が乏しい資金をやりくりしながら経営している時代では、金利は借入の重要な要因だったが、企業自ら巨額の現金等を保有していれば、金利をわずかに変更するくらいでは、マネー需給を変えることはできない。だから、中央銀行が国債を大量に購入し、金融機関に資金供給しても、金融機関からマネーが出て行かないのだ。

日銀は性懲りもなく国債購入を続けているが、日本経済の足元はたどたどしさを増してきた。8月の景気先行指数は前月比-1.4%と2ヵ月連続のマイナスとなり、昨年5月以来15ヵ月ぶりの低水準である。8月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比5.7%減と3ヵ月連続のマイナスとなり、民間設備投資は明らかに下向きとなった。

消費税率引上げ後の2014年4月以降、民需の前年比伸び率は低迷していたが、今年の5月、6月だけは前年の落ち込みの反動で高い伸びとなった。だが、8月は前年割れとなり、この傾向は続くだろう。受注総額は昨年7-9月期以降、プラスとマイナスを繰り返していたが、8月は前年比4.6%減少した。4-6月期では総額の約4割を占める外需が昨年の7-9月期以降悪化し、4-6月期は前年比24.0%も落ち込んだ。7月は大幅に伸びたが、8月はマイナスになり、変動が激しい。

工作機械受注動向をみると、8月の内需は前年比13.8%増とプラスを維持しているが、外需は今年の3月から低迷状態に陥り、8月は31.2%も前年を下回った。昨年度の外需は34.3%も伸び、受注総額の66.6%を占めたが、8月の比率は55.4%に低下している。地域別に外需をみると、いずれの地域も前年割れになっているが、特に、悪化しているのは中国である。昨年の外需受注額約1兆円のうち中国が3,102億円を占め、最大の顧客であった。その中国が今年1-3月期以降マイナスとなり、8月は前年比55.9%減少し、アジア全域に悪影響を及ぼしている。

日本の資本財生産(輸送機械除く)は8月、前年比1.1%まで低下しているが、在庫は37.3%増と一向に減少しない。予想以上に資本財の売れ行きは不振であり、在庫は異常に膨らんでいるのである。季節調整値の資本財在庫指数は179.8と1998年9月以来約17年ぶりの記録的な高水準だ。今後、資本財の急激な減産が日本の製造業、延いては日本経済を揺さぶることになるだろう。

「法人企業統計」によると、民間設備投資は2008年度を底に昨年度まで6年連続で増加したが、2014年度は39.4兆円と2007年度を11.1%下回っている。さらに過去を遡ると、株式・土地バブルのピークであった1989年度(50.3兆円)を21.6%下回っている。設備投資意欲はバブルが破裂しつつあるときもなお旺盛であり、1991年度は64.1兆円と1989年度よりも27.4%も増加した。だが、その後、設備投資意欲は急激に冷え込んだが、さらにITバブル崩壊によって、2002年度には29.7兆円とピークの半分以下となった。この間、政策金利はゼロに引き下げられ、長期金利は1998年には1%を下回った。設備投資がピークの1991年度の支払利息は37.9兆円であったが、2014年度には6.7兆円へと激減している。これだけ設備投資コストが低下したにもかかわらず、設備投資意欲は高まらず、設備投資は減価償却費の範囲にほぼ収まっている。

金利が企業の設備投資にほとんど影響力を持たないことが、1990年代のバブル崩壊以降の両者の関係をみれば一目瞭然だ。金融政策をいくら駆使したところで、消費需要が減少しているときに、設備投資が力強さを増すことは考えられない。経済が縮小すれば、設備投資も減少していくのは避けられないのである。