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ドル、分水嶺の10年

 

中東の混乱や中国のインフレ懸念など、国際経済のリスク要因があるのに、たとえば有事のドル買いのようなドルへの逃避が起こっていないように見えるのはなぜかという単純な疑問に答えてくれる一文を目にする。

 

Asia Times Online で China's peg loses currency By Michael Pento を読む。http://www.atimes.com/atimes/Global_Economy/MC04Dj02.html

 

米国が米ドルの信用破壊の取り組みに成功したという書き出しはちょっと刺激的。最近の世界情勢のなかでのドルの位置を理解させてくれる一文かな。中国経済やドルの将来に関する視点も興味深い。

 

おもしろかったので、じぶんなりに議論の要約を下記にメモしておこう。

 

以下要約

 

いま米国は最終的に米ドルにおける信用を破壊するための取り組みに成功したように見える。通貨リザーブの状態や金融市場におけるその偏在、米国の経済力や政治的位置を考えると、これは容易な仕事ではなかった。しかし、適任の人間が選ばれた。FRB議長ベン・バーナンキだ。バーナンキの超人的な努力で、世界中の投資家はいま、米ドルが究極の安全な避難所である通貨の位置に止まるという子供っぽい信念から完全に乳離れさせられた。

 

彼の成功の証拠が見て取れるのは、外為市場が最近の中東の危機に反応した仕方と2008年の金融危機への反応の仕方を比べてみてである。3年前、投資家たちは安全な逃避先を探して外貨ポジションを解消し、米ドルを積み上げた(とりわけ米長期国債市場)。こうした資金流入の結果、2008年8月から11月までに米ドルは20%上昇した。

 

しかし、最新の世界的に不安定化した場で、ドルはさほど変動を経験してはいない。事実、2010年12月にチュニジアの革命が始まって以降、ドル紙幣の価値はおよそ5%降下した。その理由は明らかだろう。

 

経済の脆弱さ、デフレの脅威、ドル評価で追加的な投与の一吹きでドルを低下させると国際的的な投資家たちに知らせたからである。

 

ちょうど今週、バーナンキは国内外で成長見通しがよいとみなしているにもかかわらず、また世界のインフレが広がっているにもかかわらず、米国は金融融通を後戻りさせないと再度明確にした。他国がそうするときでさえそうなのだ。米国の金融政策の設計者は明らかに無限の未来にまでドル低下を続けると述べたのである。

 

このことを知るなら、外国人投資家が安全な避難場所を探して、米国のソブリン債務に資産を置くことを選択するだろうか。引き続く米国経済の弱さが財務省証券の低利回りを引き起こし、ドル安傾向が実質タームでの債券の基本的価値を侵食している間、インフレで価値を失うのである。

 

これは健全な投資家が避けようとするワンツーパンチである。米国債入札で記録的な割合が中央銀行によって購入されるのは偶然の一致ではない。

 

しかし実際は、FRBは北京の中央銀行家以上にドルの価値に影響力をもってはいない。中国のサポートがなければ、ドルはダメな奴であるだろうことでエコノミストの間に不一致はない。しかしこの20年間というもの、人民元をドルにペッグするという通貨上の調整は両国の利害にかなっていた。米国は安い輸入品の洪水や超低金利、強い通貨を享受し、中国は輸出経済のブームを受け取った。それは同国のGDPの3分の1近くにのぼったのである。・・・

 

このペッグを維持するために中国人民銀行は何兆元をも印刷し、リザーブで1兆ドル以上の米ドルを保有し続けねばならなかった。

 

しかし最近、中国の猛烈な貨幣供給の増加とインフレにつながったので、とりわけ中国側からみて、ペッグは利点よりも問題のほうが大きくなった。中国の最新の前年比でみた貨幣供給の伸びはM2が17.2%まで増加しており、消費者物価指数を前年比4.9%上昇させることになっている。

 

中国の輸出業者232社の調査が明らかにしているのは、回答した74%が2010年に輸出価格を引き上げたと答えていることである。米国のBLSは1月初め、中国の輸入価格指数が18か月間安定を維持した後、第四四半期に0.9%上昇したと報告した。そして最大の輸出地域である広東では、この三月に最低賃金を19%近く引き上げるとのことである。

 

ここに困難がある。中国は輸出価格がドルでみて上昇するのを防ぐためにドルペッグを維持するが、しかし、ペッグはいま、輸出価格の上昇を引き起こしている。結果として、この政策は配達されない手紙である。単純な事実は中国の輸出に対する脅威が、彼らがその通貨を評価しようがしまいが存在するだろうということである。しかし強い通貨は、国内消費に弱い通貨がなにも提供しないのに反して大きな利益を提供する。

 

中国政府はその全人口を豊かにするまで、終わりなきインフレに落ちて行くより経済を維持しバランスさせる経路をとるだろう。中国にとって現実的な希望は強い通貨のいっそう大きな購買力が中国の製造業にとって最後の市場としての米国の消費者にとって代わる中産階級の成長を可能にすることであろう。

 

しかし米国にとって挑戦は、経済を押しつぶす金利上昇やドルの上昇、インフレの亢進の前に、迅速に製造業の基盤の多様化を推し進めることであるだろう。

 

中東の混乱や中国のインフレ問題に対する最近のドルのリアクションは我々が米国史上の分水嶺にあることを示している。

 

2010年に始まる10年間は米ドルが世界の準備通貨の地位を失う10年間であることを証明するであろう。その打撃は悪いものかもしれないが、経済を持続可能な経路に戻すのに必要なショックを提供するかもしれない。真の危険は環境の変化への適応を拒むことにある。現在の国家の執事たちは、事実上、ドルが糸で吊るされているときに、まるでドルの地位が石に書かれているかのように行動している。

 

要約終わり。