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亡霊の復活を目論む安倍内閣

共同通信の世論調査(3月25日、26日)によれば、内閣支持率は52.4%と前回(3月11日、12日)よりも3.3ポイント低下した。前々回の2月12日、13日調査に比べれば9.3ポイントの低下だ。だが、「共謀罪」法案の閣議決定や安倍昭恵氏の森友学園関与疑惑が追及されていながら、依然50%を超える支持率を維持しているとは驚きである。
米ギャラップ世論調査(3月24日~26日)によれば、トランプ大統領の支持率は36%と最低を更新した。前オバマ大統領の任期中の最低支持率は38%だったが、就任約2ヵ月で、これを下回るとは、いかにトランプ大統領が不人気かがわかる。これに対して、安倍首相は長期政権でありながら50%を超えている。
この高い支持率を拠り所に、3月31日には、民進党の初鹿明博衆議院議員の質問主意書への答弁書(「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」)を閣議決定した。1948年6月に国会で排除・失効確認を決定した「教育勅語」を蘇らせようという魂胆が窺える。天皇中心の独裁国家を教え込むという「日本国憲法」を完全に否定するものを肯定するのである。天皇を頂点に据えることで、戦前は社会のあらゆる組織が天皇国家のようなピラミッド型になったのだ。特に軍隊組織は「教育勅語」を盾に絶対服従を強いらせた。
終戦からすでに72年を経過しているが、日本の民主主義は社会の深いところまで根を下ろしていない。独裁体制に近いところも見受けられる。東芝なども社長は天皇だったのだろう。企業だけでなく家庭にも戦前の悪いしきたりが残り、さまざまな差別・格差が、あたりまえのように、一部受け継がれてきているように思う。
安倍内閣は「教育勅語」を学校教育に持ち込みたいのだ。そして日本を義務教育の段階から「教育勅語」で洗脳し、扱いやすい従順な人間を造り上げようとしているのではないか。
来年4月からは小学校で教科として「道徳」を教えるというではないか。道徳を教えることができるならば、文科省が全省一丸でなぜ道徳以前の法律違反を犯したのだろうか。道徳ではないが、「教育勅語」の「一身を捧げて皇室国家の為につくせ」ということを復唱させることはできる。「一身を捧げて皇室国家の為につくせ」ということになにの疑問も湧かなくなるまで児童に復唱させるのだ。鉄は熱いうちに打てということか。
道徳を教えることができるのであれば、窃盗も人殺しもいないはずだ。今までの数多の疑獄事件や粉飾決算も起きなかったはずだ。だが、現実にはそういう事件が発生している。道徳のように教えることができないことを教えるなど、なんとばかげたことをしているのかと思う。それならば音楽や美術に充てたらよい。日本はまったく無駄なことに多くの時間を費やしていることか。日本経済が行き詰まるのも無駄な会議や議論に忙殺されているからだろう。
政府は「教育勅語」や「憲法改正」を俎上に上げているが、今の日本は「教育勅語」や「憲法改正」などまったく必要ない。憲法のどこに切羽詰まった問題があるのだろうか。少子高齢化、所得・資産格差、子育て、原発廃止等が問題なのであり、安倍政権はそうした根本問題から国民の目を逸らすために自分の偏狭な考えを持ち出し、国民に議論を吹っ掛けているのだ。
それにしても次からつぎへと戦前の戦争へと突き進ませた悪法が復活しつつあり、国民の基本的人権が踏みにじられる方向に進んでいる。大正の終わりの1925年、治安維持法が公布されてから軍部テロが相次ぐ暗黒の時代に突入していった。さらに満州事変(1931年)、国際連盟脱退(1933年)そして1938年には国家総動員法成立、太平洋戦争(1941年)へと破滅に向かっていった。こうした流れの底流にあるのは、江戸から明治への転換の最大の原動力となった皇国思想である。具体的には大日本帝国憲法(1889年公布)や教育勅語(1890年発布)であり、それらを通して国民に皇国史観を植え付けていったのである。
憲法と教育は国民を洗脳するための道具として不可欠なのである。だから安倍政権は憲法改正と教育勅語を推し進めようとしているのだ。総裁任期が連続3期まで延長されたことから安倍首相は憲法改正と教育勅語の復活を最大の目標にしているはずだ。
お人好しの日本人は根底に流れている不気味な政治の動きなどに無頓着に、安倍内閣を支持している。個性の薄い日本人はいつのまにかあらぬ政治の渦に巻き込まれてしまいそうだ。気づいたときはすでに時遅しで、手の施しようがなくなっているのである。
今、東京国立近代美術館で藤田嗣治の『アッツ島玉砕』、『サイパン島同胞臣節を全うす』が展示されているが、これは戦争の惨たらしさを描いており、戦争画として非難されるものではない。悲惨な戦争を二度と繰り返さないために、これらを国会に掲げてもらいたい。

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