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公共事業、金だけで進捗するか

政府は1月29日、2013年度の一般会計予算案を決めた。総額92.6兆円、前年度予算比2.5%増である。主要経費別では公共事業費5.28兆円が15.6%と最も伸び率が高い。今年度補正予算でも5兆円弱の公共事業が計上されており、その大半は4-6月期に支出されるだろう。安倍首相は4-6月期のGDPをなんとしてでも好転させ、消費税率の引き上げを宣言したいのだ。今年度補正と来年度予算で合計10兆円の公共事業は消費税率引き上げのための手段なのである。2011年度決算ベースの公共事業費5.9兆円に比較しても、向こう1年間に支出される公共事業費がいかに巨額かがわかる。再び自民党による土建国家が復活したのだ。

 だが、こうした巨額の公共事業も来年度限りとなるだろう。2014年4月に消費税率は引き上げられるが、公共事業の反動減と消費の落ち込みにより、経済は激しく収縮するだろう。公共事業という劇薬を使い、一時的には経済は浮上しても、体質は変わっていないので、薬が切れれば、再び症状は悪化する。自民党政権は2009年まで長期間、そのようなことを繰り返してきたのである。金をばらまき政権を維持したといえる。

 自民党はなにか新しいことを実行しているように見せかけているが、中身は従来の金融・財政政策であり、少しも新味はない。成長戦略というが、かつて政府、特に、経済産業省(通産省)が主導した政策で持続的に成長した産業などあっただろうか。力の強い業界とグルになり、税金を浪費しただけだ。原発などその典型であり、自動車産業なども圧力が強いので、さまざまな恩恵が施されてきた。

公共事業を大幅に増やし、経済を無理やり拡大しようとしても、すでに公共事業は活況を呈しており、供給面での制約がある。公共工事請負金額をみると、2011年10-12月期から前年比プラスとなり、その後2012年10-12月期まで5四半期連続のプラスである。しかも2012年1-3月期以降は2桁増であり、10-12月期は17.7%も前年を上回った。公共工事が好調なのは、東北地方の復旧工事が急増しているからだ。2012年の東北の公共工事請負金額は前年比87.8%増である。4-6月期に公共工事を急増させようとしても、すでに建設部門に事業をこなせるだけの余力はない。

建設業就労者数は2002年の618万人から毎年減少し、2011年には497万人に減少した。2012年には503万人に増加したが、大幅に増額された公共事業を消化するには、人員確保が不可欠。

名目GDPの公的固定資本形成も減少し続けており、2011年度は21兆円と10年前に比べると12兆円も減少している。民間住宅にしても2001年度の18.5兆円から2011年度には13.4兆円へと規模は縮小した。事業費(金)だけ増やしたからといって、人と物の質と量が伴わなければ、事業は成り立たない。安倍首相は必死になって公共事業で経済を持ち上げようとしているが、人と物がネックになり、公共事業は思い通りに進まないだろう。 

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