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公需依存強まる日本経済

先週末、東証一部時価総額は591.3兆円に膨れ、1989年12月のこれまでの過去最高をわずかに上回った。今年4月の東証一部の上場会社数は1,881社、上場株式数は4,025億株だが、1989年は1,161社、3,032億株であり、会社数ははるかに多く、株式数も約3割増えている。それでも時価総額がそれほど違わないのは、株価(TOPIX)が依然当時よりも4割以上下回っているからである。

株価が持ち直し、時価総額が最大になったのは、日銀の金融政策が大きく寄与している。1995年以降、コールレート(翌日物)は1%を下回り、その後、現在に至るまでほぼゼロに抑えられている。長期金利も急低下し、1997年以降は2%以下に低下、低落傾向を持続し、今年1月には0.2%へと下落し、過去最低を更新した。これほど主要金利が下がれば、株式投機に走る人や法人が多くあらわれ、株式売買は活発になり、投機的となる。

時価総額は1989年の25年後に過去最高を更新したが、売買代金(東証一部)は2005年に1989年を上回り、過去最高を更新。その後も売買代金は膨らみ、2007年には1989年の2.3倍にもなった。金融危機と大震災・原発崩壊で売買高も減少したが、それでも1989年を下回ったのは2012年だけであり、しかも減少率は6%程度とバブル並みの規模であった。2013年の日銀の大規模な国債購入が株式に火をつけ、2013年の売買高は2007年以来6年ぶりの規模に拡大した。

時価総額を経済規模と比較すると、1989年には時価総額が名目GDPの1.44倍に拡大した。80年代の初めには時価総額はGDPの3割程度であったが、80年代後半、その比率は急速に上昇していき、株式が実体経済から離れていった。時価総額・GDP比率が1倍を超えるのは稀であり、バブル期以降では2005年、2006年、2014年の3回だ。が、先週末は1.19倍と1989年以来の高い比率に上昇し、実体経済に比べて株式が大きくなりすぎていることを示している。

20日発表のGDP統計によれば、2014年度の実質GDPは前年比1.0%減と2009年度以来5年ぶりのマイナスとなった。民間最終消費が3.1%も減少したことに、民間住宅や民間設備投資の不振も加わったからだ。民間最終消費は前年度のみならず、2012年度をも下回り、2011年度以来3年ぶりの低い水準に落ち込み、公的支出、民間在庫、外需のプラスでは補いきれなかった。

1997年4月の消費税引き上げの影響は小さく、1997年度の実質GDPは前年比-0.1%にとどまった。民間最終消費が1.0%減と今回に比べれば小幅であったことが、実質微減にとどめた。ただ、1998年度、民間最終消費はやや持ち直したものの、住宅や設備投資の落ち込みで、実質GDPは1.5%のマイナスになった。

 昨年度の名目GDPは前年比1.4%伸びたが、民間最終消費は-1.1%と5年ぶりのマイナスだ。

家計最終消費支出(持家の帰属家賃を除く)に限れば239兆円、-1.5%である。1997年度以降の家計最終消費支出は231兆円から243兆円の範囲に納まっており、消費の伸びる余地はない。1997年度は243兆円であり、昨年度よりも多いのだ。家計消費が伸びないことは、国内で設備投資を拡大する必要はないということである。民間設備投資のGDP比は昨年度14.0%と前年度よりも0.1ポイント低下したが、2009年度に比べれば1.2ポイント高い。米国の同比率は2014年、12.7%と日本を下回っており、マイナス成長が予想されるなかでは、日本の民間設備投資の比率は高すぎる。

 拡大を続けているのは公的支出である。2011年度以降4年連続増で126.3兆円と1997年度以降では最大、名目GDP比率は25.8%と2007年度の底から3.3ポイントも上昇した。2014年度の名目GDPは前年比6.8兆円増加したが、民需は1.7兆円の減少。最大のプラス要因は純輸出の赤字が4.5兆円縮小したことであり、次が公需の4兆円の増加である。今の日本経済は民需だけで安定を保つことができず、公的支出の拡大が不可欠ともいえる。

10年前の2004年度と比較しても民需は1兆円弱減少している半面、公需は8.6兆円増加している。純輸出は20.4兆円の大幅な減少である。民間設備投資の拡大は期待できないため、貯蓄を吸収するには公需か純輸出の増加しかない。純輸出の赤字の大幅な改善は難しく、貯蓄の吸収先は公需しかないのである。

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