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商品市況の下落と日本経済

ドルが強い。対円では1年ぶり、対ユーロでは1年5ヵ月ぶりの高値である。米国の経済成長率が日本や欧州よりも高く、先行き、FRBは政策金利をさらに引き上げようとしているからだ。一層傲慢になったトランプ大統領が今後2年間も采配を振る。人種や宗教といった根本問題を持ち出し、民主主義を破壊する動きを強めているが、ドルは強い。ただ、経済が強いか弱いかだけがドルの価値を決定しているのである。なによりも、米国経済は世界最大であり、ドルに代わる国際通貨が存在しないことが、ドルの強みとなっている。

トランプ大統領の放言がスマートフォンから世界に瞬時に拡散し、その影響は世界の政治に波及している。独裁志向の政治を推進する起爆剤になっているのだ。セッションズ司法長官を更迭したように、異なる考えや自分にとって都合が悪い人は排除するなど、トランプ政権はますます同質集団化している。日本の安倍政権も同質化しており、トランプ大統領と思考は同じである。確実に独裁的同質集団の政治が世界に蔓延りつつある。

米国経済はまだ好調を維持しているが、欧州は明らかに減速している。経済が好調な間は、問題は表面にあらわれないけれども、一旦、景気が悪化すると問題が露わになり、不満がいたるところで噴出してくる。独裁的政治家は不満解決に注力するのではなく、むしろ、不満を増幅させ、政権強化に利用しようとする。

トランプ大統領は景気の悪化や株式の暴落などが起こっても、原因は民主党にあるのだとがなり立てるだけだろう。そして、保護貿易の推進や移民制限などの米国第1主義を強め、排他的政策が重要なのだとボルテージを上げるのが関の山だ。

向こう2年間、トランプ大統領のさらなるヒステリーによって世界政治は混沌とした状態に陥るだろう。政治が混沌としてくれば、経済も同じように混沌としてくるはずだ。当然、為替や株式の振幅は大きくなり、バブル化している米株式は激しい動揺をみせるかもしれない。

 

商品市況は急速に悪化している。代表的指数であるCRBは週末、188.45と8月半ば以来約3ヵ月ぶりの水準に低下した。商品は総じて下落しているが、特に、原油の落ち込みの影響が大きい。サウジアラビア、ロシア、米国の増産により、在庫は積み上がり、原油価格(WTI)は10営業日続落し、今年2月以来の低水準に下落、過去1ヵ月では19.3%の急落となった。最大の原油輸入国である中国の景気減速などが影響しているようだが、世界的に経済の先行きが不透明になっていることが原油急落の主因だ。さらにトランプ大統領の自国第1主義がもたらす世界経済への攪乱要因も影響していると考えられる。

FRBが金利をゼロの限界まで引き下げたことが株式同様、商品市況にも投機マネーを流入させ、実体経済をはるかに超える上昇をもたらした。だが、FRBの政策金利の引き上げに伴い借入資金コストが上昇し、投機的な売買は抑えられてきているはずだ。

7年続いたゼロ金利をFRBは2015年末に0.25%引き上げたが、CRB指数は引き上げの半年前にピークアウトしている。300を超えていたCRB指数は2016年2月には163へと急落した。その後、戻したとはいえ200をやや上回る程度である。振幅の大きい商品市況は、本来ならば米景気拡大に伴い、かなり上昇してもおかしくないのだが、やはりFRBの利上げ姿勢が商品相場にかなり抑制的な効果を発揮している。CRB指数はFRBが政策金利の引き上げの雰囲気を漂わせる間、国債利回りも上昇し、それがドル高にも繋がり、ドル建ての商品相場の魅力を引き下げるだろう。

 

CRB指数は日本の景気先行指数ともほぼ同じ動き方をしている。9月の景気先行指数は前月比0.6%下落し、昨年11月をピークに低下しつつあり、前年割れは4ヵ月連続だ。先行指数が前年比プラスからマイナスに変わったときには、株価は下落する傾向がある。一致指数は前月比1.8%減と昨年12月のピークから3.7%落ち込んでいる一方、遅行指数は上昇しており、前年を3.2%上回った。さらに先行性の強い一致・遅行指数は9月、前月比-2.9%の大幅減となり、2011年4月以来7年7ヵ月ぶりの低い水準だ。また、ディフュージョンの先行指数は9月、11.1へと低下しており、日本経済の多くの分野で活動力は衰えていることを示している。

来年、減税効果の剥落で米国経済は減速するはずだ。トランプ大統領が自国第1主義を前面に押し出す政策を強めるならば、世界的に経済は沈滞するだろう。日本経済は外需依存度が高く、世界経済が減速すれば、輸出が減少し、景気は悪化することになる。

9月の「機械受注統計」によれば、外需は前年比10.2%減と2ヵ月連続のマイナスだ。7-9月期では前年比-4.3%と7四半期ぶりの前年割れとなった。2017年7-9月期には32.6%も伸びていたが、その後4四半期連続で伸び率は低下した。外需依存度が高い電子計算機等(半導体製造装置を含む)や産業用ロボットの外需は7-9月期、5.4%、9.5%それぞれ前年を下回った。日本が得意とする機械受注の外需の減少は、世界の主要企業の設備投資マインドが冷えてきていることを示唆している。

来年10月、政府は消費税率を引き上げる予定だが、世界経済の減速が強まり、外需が減少することになれば、内需がたどたどしい状態では日本経済は苦しい立場に追い込まれることになる。7-9月期の総世帯の消費支出(名目)は前年比0.9%の増加にとどまり、4年前の2014年7-9月期では0.3%しか増えていない。こうした内需の主力である消費がほぼ横ばいの状態では、消費税率引き上げの経済への打撃はかなり大きくなる。低所得者層ほど悪影響を受ける消費税ではなく、所得税の累進性を高め、株式配当課税を引き上げ、有価証券取引税を復活させ、内部留保を溜め込んでいる法人への課税を強化することなどで歳入を確保すべきだ。

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