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悠長に構える日銀

被災県の岩手、宮城、福島、茨城の4県の名目GDPは32兆円(07年度)であり、全体に占める比率は6.2%と低いが、そこで生産される製品は国内だけでなく世界の生産プロセスに必要とされており、そうした製品の供給停止の経済への影響は大きい。

全国地銀協会によると、4月の景況判断DIは35.7と前月比17.5ポイントも落ち込んだ。景況見通しDIは17.7の38.8ポイントもの急減となり、先行きについてはさらに悲観的である。景況感の悪化のなかで、国内企業物価指数は3月、前年比2.0%と4ヵ月連続で上昇率は高くなった。なかでも素原材料価格は20.5%も上昇しており、企業収益を圧迫しつつある。

死者・行方不明は27,880人、建物被害は27.2万戸にのぼり、1ヵ月以上経過したいまも15万人近い人が避難所で暮らしている。50万人以上の人が家屋をなくし生活基盤が失われ、さらに仕事もなくなるなど先行きの見通しはまったく立たない。

被災者はこういう切羽詰った状況下に置かれているが、政府は会議に明け暮れ、対応は進んでいない。対応は政府まかせではなく、地元がよくわかっている地方自治体がしっかりした対応策を策定しなければ復旧・復興は覚束なくなる。職員を失い、復旧で目一杯であり、先行きの青写真など考える余裕はないかもしれないが、中央政府のお仕着せではなく、自らシナリオを描かなければならない。まさに地方は叡知を結集し、住みよい安全な町を創っていかなければならないのだと思う。

日銀は金を用意する必要がある。非常時の時であるから、国債を直接引き受けことに躊躇すべきではない。買いオペを増額し、金融機関の現金を増やし、金融機関はそれを元に新発国債を買うという回りくどい方法など採らずに、日銀が直接新発国債を買えばよい。国は調達した資金を被災地の要求に応じて出すという形を取る。

3月末の日銀の国債保有額は77.2兆円、総資産は142.9兆円であるので半分近くが国債で占められている。国債保有額は08年12月に63.1兆円まで減少してから、その後、再び増加基調を辿っている。だが、これまでの最高額100兆円(04年3月)に比べるとまだ約23兆円少ない。日銀は長期国債保有額の上限を日銀券発行額としているが、これを基準にしても約20兆円の買い増し余力がある。

1998年以降、金融危機が深刻になるにつれて日銀の国債買い入れは急増したが、今の状況は当時を上回る危機であり、金融機関から国債を買い取り、金を供給するといった悠長なことをしているときではない。復興国債のような冠を付けた名前の国債があがっているが、名称が違うだけで中身は同じ国が発行する借用証書である。瑣末なことに時間を浪費している余裕はない。

3月の銀行計の貸出は前年比1.8%減とマイナス幅は0.2ポイント縮小したが、預金は2.7%増と前月よりも0.7ポイントも上昇し、銀行の預金は貸出を154.9兆円も上回っている。銀行には潤沢な金が溢れており、国債を買わざるをえない状況は続いている。現金で金を寝かしておいては一文にもならないからだ。家計は消費に慎重になっており、貯蓄を

増やし、銀行に預金は流入している。国債が捌けない理由はない。 

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