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感染を再拡大させるオリンピック

円ドル相場は円安ドル高傾向を強めている。過去1カ月で3円もの円安ドル高だ。同様に、ユーロやスイスフランも対ドルで安くなっている。足元の米経済が日欧よりも良いだけでなく、新型コロナ経済対策が上院を通過し、今月中には1,400ドルの給付金が支給される見通しとなり、先行きの景気にも自信が持てるからだろう。2月の米非農業部門雇用者は前月比37.9万人増と予想を上回り、米国経済の回復を裏付けている。新型コロナ感染者数は1月7日の27.5万人から3月5日には6.5万人へと大幅に減少していることも米国経済の先行きを明るくしていると言える。

米景気回復への期待が強いことから、ドルは引き続き買われるのではないだろうか。米国債利回りも上昇しており、利回りの上昇期待がドルの魅力を高めるとの観測から、さらにドルを求める動きが優勢になるかもしれない。

WTIは1バレル=66ドル台に上昇し、1週間で7.5%もの急騰だ。OPECプラスが現行の減産維持を決めたことで一段上昇したが、すでに米株の最高値更新などで投機資金が流入しており、理由なき相場が続いていた。銅にいたっては3月2日には9,170ドル/MTと2011年8月以来9年7カ月ぶりの高値を付け、昨年3月から90%超の急騰である。

CRB指数も2年6カ月ぶりの高い水準であり、資源輸入国日本にとって、輸入額は増加することになる。新型コロナによって輸出の回復が遅れれば、資源高による輸入増が貿易収支を悪化させるだろう。過去のCRBと貿易収支の関係からも、CRB高のときは貿易赤字を余儀なくされ、それが為替相場にも及んでいることがわかる。これからもCRBが高水準で推移するならば貿易赤字が拡大し、円ドル相場にも影響するだろう。

米国の2月の失業率は前月比0.1ポイント低下の6.2%だったが、1月のユーロ圏は8.1%と3カ月連続の横ばいである。欧州では、新型コロナ感染者が増加している国もみられ、経済は厳しい状況にある。外出も儘ならないなかで、1月のユーロ圏小売売上高は前月比-5.9%と大きく落ち込んだ。ドイツでも昨年12月の-9.1%に続いて1月もマイナス4.5%と2カ月連続の悪化となった。新型コロナ感染者や死者が増加に転じつつある状態では、欧州での人の移動は制限され、経済活動は停滞するだろう。

1月の日本の失業率は2.9%と前月よりも0.1ポイント低下した。就業者は前年比50万人減と前月の71万人よりも減少したが、休業者が前年比50万人増と昨年6月以来7カ月ぶりの高水準となった。緊急事態宣言の延長によって、こうした休業者としての地位も奪われ、失業者になることも十分考えられる。

日本では、一都三県の緊急事態宣言は延長され、飲食・宿泊等のサービス業を中心に売上が大きく落ち込む状況が続くことになる。しかも、2週間後の3月21日に感染状況が改善するという保障はない。この宣言下でも横ばい状態までの改善が、精一杯だったことから判断すれば、同じことの繰り返しでは、さらなる感染の抑制は難しいのではないか。日本人に特有の曖昧な思考が、なにの根拠も示さずに、ただ雰囲気だけで2週間の延長を採用したことに表れている。

春になれば、人の活動は活発になる。これを無理矢理抑え込もうとすれば、新型コロナ感染者は少なくなるかもしれないが、他の疾病が増加するかもしれない。一方を抑えれば、他方が持ち上がるのだ。抑える事ばかりに注力すれば、その反動が現れることになる。

厚生労働省の『人口動態統計速報』によると、2020年の死亡は1,384,544人と前年よりも9,373人減少した。2020年末までの新型コロナ死亡3,459人が加わったにもかかわらず、死亡は減少したのだ。

東京都でも2020年の死亡は122,178人、前年比330人増にとどまっている。3月6日までの新型コロナ死亡は1,462人であり、新型コロナの影響を加えれば、330人増では収まらなかったはずだ。

欧米ではこのような前年に比べて死亡が減少することはなかった。日本特有の現象なのである。感染リスクを回避するために、病院を敬遠したことが、死亡減少の最大の要因ではないか。過剰診療と過剰投薬を避ければ、死亡を減らすことができることを新型コロナは気付かせてくれた。

3月6日までの新型コロナ死亡は全国で8,238人であり、今年に入ってからの死亡(4,779人)は昨年1年間を上回っている。2020年の感染者は230,304人だったが、今年は3月6日までに208,775人感染している。死亡・感染者比率は昨年の1.5%から今年は2.3%に上昇、新型コロナは強毒化しているようであり、弱毒化するにはまだまだ時間がかかりそうである。

ワクチンも初めての製造法で急ごしらえのため、どのような副作用が現れるかわからない。欧米で使用されているからといって安易にワクチン接種するのはリスクが高い。結局は新型コロナが宿主のなかで暴れることなく、穏やかに住める状態になるまでは、人間もおとなしく暮らす以外にはないのではないだろうか。

新型コロナ感染者数(累計)・人口比率をみると、G7のなかでは米国が最高で8.81%、以下イギリス6.24%、フランス5.96%、イタリア5.03%、ドイツ2.98%、カナダ2.35%であり、日本の感染率は0.35%と最低であり、異常に低い。日本だけでなく、東南アジア諸国の感染が低いのはなぜか。米食と小麦食の違いなのだろうか。

日本にやってきた新型コロナは欧米などに比べ、おとなしくしていることに感謝しなければならない。おとなしくしている状態をさらに安定化させるためには、オリンピックのような世界中から多数の選手が集まるような祭りは甚だ迷惑で危険である。

コロナ禍の最中にオリンピックのような祭りを、いまだに遂行するという。とても、正常な頭の持ち主とは考えられない。ナチスや日本軍が第2次世界大戦に突入するときの判断とそれほどの違いはないだろう。戦争することを決めてしまって、後は国民の基本的人権を丸ごと奪い奴隷化し、ロボットにしてしまう。日本では、正常な論理的な思考が排除されやすいことは、今も根強いのである。

これから数ヵ月後に新型コロナが収束するなどあまりにも非現実的ではないか。海外から多くの人が入ってくれば、抑えきれるものではない。感染拡大は必至となる。感染者が少ない日本に、感染拡大を引き起こすオリンピックは中止しなければならない。

もし、オリンピック開催後、感染が爆発的な勢いで拡大すれば、緊急事態は長期化するだろう。感染による死亡が急増するかもしれない。また、緊急事態宣言が出され、日本経済は疲弊し、その間、失われる経済的損失は計り知れない。これまでの努力が水泡に帰することにも成り兼ねない。国民の生活を守ると言いながら、遣っていることは、危険極まりない状況を作り出す政策なのである。

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