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懲りない経済産業省

6月18日、海江田経産相は玄海原発の安全対策が「適切に実施されたことを確認した」と述べ、2号機と3号機の再稼動を要請した。経済産業省は福島原発のことなど他人事のようにとらえ、原発の再稼動に躍起なのである。経済産業省は、これまでも原発の安全対策を講じていたのだが、事故は起き、どうにもならない事態を引き起こした。福島原発で従事している労働者は被曝を余儀なくされ、住民は避難生活を強いられ、放射能の恐怖で精神的ストレスにも苛まれている。そのような現実を直視するならば、軽々しく安全宣言を出すことなどできないはずである。

不条理なことでも平気でやる経済産業省には良心の欠けらもないのだ。馬鹿を見たのは官僚に上手く乗せられた海江田経産相である。大臣は官僚のもっともらしく装われた説明を大所高所に立ち、スクリーニングする能力を持ち合わせていなければ務まらない。そうした総合的な判断能力が備わっていなければ大臣はロボットに成り下がる。今回の海江田経産相の行動はまさにロボットであり、菅首相により、経済産業省の暴走がなんとか止められた。

玄海町町長や佐賀県知事は町民や県民のことなど微塵も考えていないことが明らかになった。ひとたび事故が起きれば成す術がなく、しかも猛毒を撒き散らしていることを目の当たりにしても、原発の再稼動がなによりも大事だと考える。地方自治体のトップの体質がなんら変わっていないことが証明された。事故を収めることができないことをなぜ推進するのだろうか。

経済産業省の唯我独断を止めることができるのは首相しかいない。事故を起こしその処理もできない当人が安全審査をするのだから、日本という国はなんと理不尽なのだろう。事故から4ヵ月も経過したが、原子力委員会、原子力安全・保安院、原子力安全委員会もそのままの体制を維持しており、同じ組織と人が原発の安全を審査し続けていれば、事態の改善など図れるはずがない。人事の総入れ替えをし、事故の収束に総力を結集しなければならない。

ストレステストの実施により、原発の稼動が遅れることにたいして、日経新聞は一面で『電力危機で空洞化懸念』(7月9日)、読売は『原発再稼動混乱、首相は電力「危機」を直視せよ』(社説、7月8日)と原発を稼動させなければ大変なことになると煽っている。経済団体でも脱原発の主張がみられるが、企業寄りで原発推進を声高に唱える報道が後を絶たない。企業に阿る紙面構成をしなければ広告収入が入ってこなくなるからなのか。そうであれば、軍部に擦り寄り、軍部の言うことをそのままオウム返しのように唱えた戦前の大本営発表となんら変わらない。企業のご機嫌取りになってしまってはお仕舞だ。体制に染まり、原発推進に賛同し、世論をそちらに誘導するのが報道であれば、報道の存在意義はなくなる。

隠蔽、捏造、改竄、粉飾、諜報が日常茶飯事の電力会社の発表などそのまま信じることはできない。東電は3月25日、3,850万kWの電力供給量を夏までに4,500万kWに引き上げるとしていたが、7月2日、7月末には5,680万kW供給できると発表、当初よりも1,000万kW以上の上乗せとなった。遊休設備の発電所が多数あり、原発を稼動しなくても十分にやっていける。

 電力9社の総供給電力量(最大出力)に占める原発の割合は09年度末、22.9%である。原発比率の最も高いのは四国電力の30.3%であり、最低は中部と中国の10.7%である。原発は電力コストを下げるようにいわれているが、電力単価(円/kWh)を比較してみると、原発比率が最低の中国電力(16.4円)よりも最大の四国電力(17.7円)が高く、原発を多く抱えているからといって電力コストが下がることにはならない。中国電力の最大出力は東京電力の五分の一以下で、原発比率は16.1ポイントも低いが、電力コストは中国電力が48銭安い。原発を増やしてもコスト減には繋がらず、今後、廃炉と永久に保管しなければならない核廃物のコストを計上すれば、原発による発電は採算に合わない。

東電の最大出力は6,448万kWだが、このうち1,730万kWが原発であり、原発の割合は26.8%だ。原発をすべて止めれば4,717万kWとなるが、柏崎刈羽の1、5、6、7号機は稼動している。4基合計出力は約490万kWであり、これを加えれば5,207万kWは供給できる。遊休設備の稼動などを加えれば相当の上乗せが可能になるはずだ。東京電力によると、今日(7月10日)の予想最大電力は4,100万kWであり、大幅な余力がある。新聞が騒ぎ立てるような電力危機など起きないのである。

『家計調査』(二人以上の世帯)によると、4月の一世帯当たりの電気代は4月、前年比2.1%減、5月は5.6%減と減少率は拡大、なかでも東京都区部は4月7.6%、5月15.2%それぞれ減少し、全国平均の減少率を大幅に上回っており、節電を心がけていることが統計から読み取ることができる。電力使用量でも5月の電灯(10社計)は前年比7.1%減と4月よりも2.7ポイントもマイナス幅は拡大した。特に、5月の東電は12.2%減と10社のなかで最大の減少率となり、東電管内の家庭電力使用量の減少が目立つ。

 

 

5月の大口電力使用量は3.3%減と大震災による操業の落ち込みが回復していることからマイナス幅は前月比2.9ポイント縮小した。産業用電力は家庭用電灯使用量の約2倍だが、産業用電力料金は電灯の65%と安い。国際的にみても日本の産業用電力料金はイギリスやイタリヤよりも低く、ドイツと同じくらいである(エネルギー白書)。空洞化が起きるのは電力ではなく怖い猛毒を発する原発が54基もあるからだ。

 

製造業などは土日出勤に勤務体制を変更し、ピーク電力使用を平準化しているが、小売業をはじめ交通機関など大きな変化はない。24時間営業のコンビニの短縮、百貨店の休日増、パチンコ店の営業短縮等を図れば節電はまだまだ可能だろう。企業が始業と終業時間を守れば、企業の膨大な電力使用量の削減に繋がるだけでなく、人間的な生活を取り戻すためにも望ましい。今まで電気を使い放題にしてきたのだから、意識的に絞れば大幅な節電が可能だろう。異常な生活スタイルもこれを契機により人間的な状態に戻さなければならない。