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政治の激流はどこに行き着くか

9月25日、安倍首相が衆議院解散を表明するや、小池都知事は新党代表に就くと発表した。さらに、その3日後の28日、衆議院が解散されると前原民進党代表は「希望」への合流を表明。一寸先は闇という政治の世界を地で行く流れが進行している。激流をつくりだしたのは安倍首相だが、本人もこのような激しい変化は予想していなかったのではないか。小池都知事は衆議院解散を千載一遇のチャンスと捉え、国政に打って出たのだ。そして民進党を解党させ、金と組織力を奪い、一気に勢力の拡大を図ろうとしている。まさに小池都知事は策士だ。
それにしても民進党は党を再生させる知恵も気概も持ち合わせていない人物ばかりを、なぜ代表に選んできたのだろうか。2012年11月、野田首相の衆議院解散、民主党大敗による党衰退という流れが止まることなく、同じ松下政経塾出身の前原代表に引き継がれ、党瓦解で終止符を打った。民進党の歴史を顧みない党運営が自滅を加速させたといえる。
松下政経塾は保守系政治家養成機関であり、その基本的理念は自民党と大差はない。前原代表がいとも簡単に「希望の党」になびいたのも憲法改正の共通テーマで合致していたからだ。民進党の右派はすべて「希望の党」に受け入れられるだろう。左派は新党を作り、まとまっていくしかない。もともと世界観が違うのだから、同じ党で政治活動していくことはできない。遅かれ早かれ、民進党は分裂することは避けられなかった。激しい政治の流れのなかで解体が早まっただけである。
民進党の右派が「希望の党」に入ることで、衆議院議員の大半は右派系となる。「希望の党」は安保法や改憲を掲げており、一致する政策であれば自民党とも手をつなぐ可能性はある。小池都知事は6月1日に自民党に離党届けを提出、それまでは自民党議員であったということを忘れてはいけない。小池都知事は自民党幹事長の二階俊博、石破茂氏とは新進党以来の仲であり、ポスト安倍の兆しがみえると、自民党の一部とも連携し、政界編成を企てるかもしれない。小池都知事は、おそらくそのようなシナリオを描き、衆議院選に出馬する手筈を整えているはずだ。
安倍政権が秘密保護法、安保法、共謀罪と次々に憲法を蔑ろにする法案を成立させてきたが、小池新党が躍進すれば、この道筋がより強まることになろう。今回の衆議院選挙は日本が改憲保守政党一色に染まるかどうかの戦いになる。基本的な思想で政党間の違いがなくなり、有権者の選択の幅は著しく狭められることになった。さまざまな考えの政党が議論を戦わすことによって民主主義は成り立っているのだが、日本の国会が同じ考えの持ち主ばかりで構成されるのであれば、ひとつの方向に突き進んでいくことになりかねない。非常に危険な政治状況だと言わざるを得ない。
安倍首相は朝鮮情勢や少子高齢化を国難といい、この国難を突破するために選挙で改めて信任を得、首相を続行したいという。選挙のために国難に仕立てただけで、朝鮮情勢や少子高齢化は今に始まったことではない。自民党政府が締結した日米安全保障条約、家計ではなく企業よりの経済政策の遂行などから人為的に安倍首相のいう国難は作り出されたのではないか。しかもトランプ大統領に同調し、北朝鮮に圧力を掛けることが事態を改善させる方法だという。だが、これでは話し合いから遠ざかるだけであり、逆に、危機感を強めることになる。安倍首相の自作自演の国難なのである。
1980年代からの年少人口(0~14歳)減にもかかわらず、思い切った出生対策をとらなかったことが、深刻な少子高齢化を招いてしまった。だが、なお保育園、保育士不足、待機児童は解消されておらず、保育園児の無償化もいつになるかわからない。男性の育児休暇取得率は極めて低く、有給休暇と合わせて、完全消化の立法化が必要だ。少子高齢化がいま国難であるならば、待機児童をなくし、育児休暇の完全取得を法的に義務付けることが不可欠である。
秘密保護法、安保法、共謀罪などまったく必要でない法案を強引に成立させたのと同じ理屈で国難を訴えている。そのような法で対処する事態など起こらないにもかかわらず、自己顕示欲のために法案を通す。あたかも必要であるかのような事例を掲げ、強弁を繰り広げる。こうした安倍首相の行動のすべては、戦前の世界観を取り戻すことに結びついており、極め付きは「みっともない憲法ですよ」(安倍首相)と憲法を貶めるのである。
憲法をもっとも尊重し擁護しなければならない首相が憲法を「みっともない」というのである。明らかに憲法違反だ。首相の多くの側近も同じように憲法に不満を抱き、憲法にいやいやながら従っているのだ。本当に、「みっともない」のは首相であり、そのように思っている議員なのだということを知らしめる選挙にしたいものである。

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