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日米欧の株式・国債バブル

18日のFOMC声明では「経済成長は幾分緩やかになった」と述べられ、米国経済の足取りに懸念を示した。同時に公表した経済見通しも今年の実質GDPは2.3%~2.7%へと昨年12月予測の2.6%~3.0%から下方修正した。昨年の成長率は2.4%であったので、同じ程度の伸びを想定している。雇用はずいぶん改善したけれども、経済はFRBが予想していたよりも弱く、なかなかしっかりとした成長軌道に乗ることができない。これだけ長期間、ゼロ金利を続け、巨額の国債買いを実行したが、かつてのような高い成長を展望することはできないのである。

 2月の米小売売上高は前月比0.6%と3ヵ月連続のマイナスとなり、前年比でも1.2%へと昨年12月の4.9%から大幅に低下している。ガソリン販売が前年から23.4%も落ち込んだことが影響しているが、ガソリン価格の急落は小売売上高だけでなく、生産や物価にも大きく影響しつつある。

2月の生産者物価指数は前月比-0.5%と4ヵ月連続減となり、前年比でも0.6%のマイナスだ。食品・エネルギーを除くコアでも-0.5%と2ヵ月連続で前月を下回った。鉱工業生産指数は前月比0.1%と3ヵ月ぶりにプラスに転じたものの微増にとどまり、製造業に限れば-0.2%と3ヵ月連続のマイナスと冴えない。2月の住宅着工は前月比-17.0%と大幅減となり、実体経済はFRBの「幾分緩やかになった」ではなく「かなり鈍化した」と言うべきではないか。

 それでも米株式は過去最高値の近くにあり、たどたどしい実体経済とは対照的である。FRBは昨年10月に国債購入を終了したが、償還元本は再投資しており、FRBの総資産は3月18日時点で4.49兆ドルとピークからそれほど減少していない。財務省証券とモーゲージ担保証券を2.45兆ドル、1.74兆ドルそれぞれ保有、いずれも前年を上回っている。このように国債等を引き続き大量保有していることに、ゼロ金利からの脱却が後ずれしていることが加わり、米株式を過去最高値近辺の水準に保つことができているのである。

 昨年12末の米株式価額は36.4兆ドルと昨年10-12月期の名目GDP17.7兆ドルの2倍超に膨れた。日本の同比率1.17倍に比較すると米国は約倍であり、異常を通り越している状態である。株式は実体経済から掛け離れてしまっており、まさにバブルなのである。だから、FRBは利上げにことのほか慎重なのだ。株式バブルが崩壊することになれば、これまでの金融政策は水泡に帰すことになるからだ。

 FRB自身が、バブルが崩壊すれば深手を追うことになることも利上げを慎重にさせている要因である。4.19兆ドルもの証券を保有しているリスクは想像を超えるものだ。株式が暴落すれば、高騰している国債も売られることになり、FRBの資産は相当傷が付くことになり、不良債権化するだろう。米株式の崩壊は国内の国債相場だけでなく、世界中の株式・国債相場に瞬時に波及し、株式・国債という過去にない2重の暴落が世界的規模で起こることになる。日本と欧州の株式・国債相場はいずれもバブル化しており、米金融・資本市場のクライシスは世界市場を麻痺させるだろう。

 米国発の株式・国債暴落を日銀はもろに受けることになるだろう。ECBにしても国債購入とゼロ金利政策の付けが回ってくる。ドイツ国債の利回りは日本よりも低くなり、0.18%と過去最低を更新、明らかに異常事態である。昨年10-12月期のドイツのGDPは前年比3.2%のプラス成長を続けており、マイナスになるようなことにはならない。国債利回りが名目経済成長率を3%も下回るのはユーロ圏のなかでもっとも信頼されていることと、ECBの国債購入による相場の行き過ぎを反映していると思う。

2014年でもドイツ経済は3.4%成長しており、2009年の-4.0%を除けばすべてプラスだ。プラスで伸びが最も低かった年は2003年の0.5%であり、経済成長率が今のドイツ国債利回りのように低下したことはない。ドイツ国債の利回り水準は金利の歴史に記録をとどめるだろう。

FRB、日銀、ECBがいずれも同じ金融政策を採ったことが、過去にない金融バブルを作ってしまった。これまでは中央銀行はバブルに飲み込まれることはなかったが、今回、どのバブルが弾けても、中央銀行は深手を負うことになるだろう。自らバブルの種を蒔いてしまい、バブルを育てたのだから、バブルで自滅するのは本望ではないかと思う。

中央銀行の総裁をはじめとする面々は学識の高い方として捕らえられているが、「原発村」の住人と同じで、危ないことでも平気でやり遂げる人たちなのである。1980年代以降の金融政策は実体経済よりもむしろ金融経済のコントロールを中心に運営されるべきであった。特に、金融がバブル化しないような政策がもっとも重視されなければならなかった。バブルが発生しないような金融政策を採る必要があったが、「ウオール街」の影響力が非常に強く金融規制は骨抜きにされてしまい、過去と同じバブルの道を邁進することになった。

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