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為替相場の影響を受けやすい日本の製造業

安倍首相とトランプ大統領は自由を制限し、国家にとって都合のよい政治体制を目指している。だから、これほど問題の多いトランプ大統領を安倍首相は持ち上げるのだ。日米同盟を強化し、米国の核の傘にあることに何の疑問も感じないのである。そのことが最大のメリットと考えているのだろう。だが、考えてもみよ、そのように振る舞うことは、虎の威を借る狐ではないか。最悪の兵器である核の後ろ盾がなければなにもできないのでは、核廃絶と矛盾している。唯一の被爆国といいながら、核に頼るという情けない国である。
子供に暴力はいけないといいながら、戦争のための武器を多量に保有するのだ。抑止のためなら何を所有してもよいのだろうか。そのために米国は昨年、軍事費に約67兆円も投じている。それに対抗するためにロシアの民生部門は疲弊しているのだ。パンよりも兵器生産優先なのである。抑止のために国民は多大の犠牲を強いられ続けている。そうした国家の行動や態度が子供の全うな生き方に悪影響を与えているのだ。
原発は核兵器の原料を生産するが、原発は核燃料を装着し、使用済み核廃物で満ちているため核地雷ともいえる。巨大地震が起これば核地雷が爆発し、放射能が飛散し、福島のように住めなくなる。隣国との争いよりも原発のほうがはるかに恐ろしいのだ。東電の福島第一原発をみれば、核の恐ろしさがわかるはずだが、安倍首相をはじめ閣僚はそうは思っていない。
福島第一原発の核燃料を取り出すというが、どうしてそのようなことができるのだろうか。できもしないことをあたかもできるかのように言いふらす。時間と金が止めどなく費やされることになる。想定されている廃炉費用は時間の経過とともに、鰻上りとなるだろう。国民は廃炉費用を税金と電力料金で搾り取られることになる。国民の稼ぎが負の遺産である原発の廃炉に消えていくのである。本来なら教育や社会保障などに有効に使えるお金を東電が起こした原発事故に浪費されることになる。人権など顧みない強欲資本家と国家によって、さまざまな公害が発生してきたが、福島第一原発の事故とその後の活動をみれば、事態は明治時代と少しも変わっていないことがわかる。
安倍首相の尊大なトランプ大統領への接近は、欧州の指導者からみれば同類と見られ、軽蔑の眼差し受けているのではないか。欧州は米国を異質な政治国家とみなすだろう。欧州は安倍政権も米国と同類だと捉え、これまでのような関係を築くことは難しくなりそうだ。世界の政治はトランプ大統領の出現によって、ナショナリズム(自国第1主義)が強まっていくだろう。プーチン、習近平の国家観に近い国が増えることも考えられる。自国第1主義と二国間協議の政治原理は、あまりにも欧州とは異質な政治原理であり、米国と欧州の関係は緊張したものになるだろう。
今回の日米首脳会談では、日本の対米貿易黒字や為替は取り上げられなかったが、いつトランプ大統領の放言が聞かれるかもしれない。日本の貿易統計によれば、2016年の貿易黒字は4兆円と2010年以来6年ぶりの黒字だ。輸出は前年比7.4%減と4年ぶりのマイナスに転落したが、輸入が-15.9%の大幅減となったからである。一般機械、電気、輸送とすべての分野で輸出は振るわなかった。世界経済の足取りが重く、貿易取引もその影響を受けたということである。輸入も全分野で減少したが、特に、原油や液化天然ガスなどの鉱物性燃料が-33.9%も減少した。これだけで、マイナス15.9%の半分を説明できる。ただ、数量では原油等は-0.3%、液化天然ガスは-2.0%の小幅減であり、マイナス幅が拡大したのは偏に円高ドル安による。
ところで昨年の対米黒字は6.8兆円、前年より3千億円ほど減少した。対米黒字の大半は自動車等の輸送用機器であり、その黒字額は5.2兆円と対米黒字全体の76%を占める。金融危機後の2009年の輸送用機器の対米黒字は2.6兆円に落ち込んだが、その後、ゼロ金利や米国経済の回復に伴い輸送用機器の輸出は伸び、黒字額は5兆円台に乗せるまでになった。金融危機以前の2006年の輸送用機器の黒字額(6.2兆円)には届いていない。いずれにせよ、対米黒字の大半は輸送用機器に依存しているが、円ドル相場の影響は小さくなってきている。2016年の円ドル相場は108円95銭と2015年比12円5銭の円高ドル安だったが、輸送用機器の対米輸出額と黒字額はほぼ同じであった。2011年、2012年の円高ドル安以降、円安ドル高に転じたけれども、自動車販売は米国経済の回復とゼロ金利の影響が大きかったのではないか。
だが、日本の製造業の輸出依存度は高く、為替相場の影響をなかなか回避できていない。輸出額と為替相場の関係をみても相関性は強い。昨年秋以降の円安ドル高によって、輸出は顕著に回復し、昨年12月の輸出額(季節調整値)は6.1兆円と2015年11月以来、13ヵ月ぶりの高い水準だ。輸出の回復が景気指数にも表れており、昨年12月の景気一致指数は115.2と2014年3月以来2年9ヵ月ぶりの強い数値である。ディフュージョン指数の一致指数は昨年11月、12月と2ヵ月連続で100%を示し、一致指数は景気拡大が経済全体に波及していることを示している。
日本の景気が良くなれば、為替相場は円高ドル安に進み、輸出は抑制され、日本景気は悪化する。日本景気の悪化は円安ドル高を招来し、輸出の回復から景気も好転するといった景気と為替相場のメカニズムが働く。そうであれば、トランプ大統領の口先介入による影響は一時的なものにとどまるはずだ。言わせておけばよいのだ。放言はきっとトランプ大統領に跳ね返ってくるのだから。

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