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米国経済の足取り重い

米国経済の足取りはやはり重い。6月の非農業部門雇用者は前月比1.8万人と2ヵ月連続の低い伸びとなり、失業率は9.2%と3ヵ月連続の上昇、失業者は1,408万人に増加した。高失業率は過去に経験ないほど長期化し、失業期間も27週以上が628.9万人と昨年12月以来の高い水準となるなど、雇用問題は米国経済に突き刺さったままである。

 

 

 政府部門が3.9万人減と8ヵ月連続のマイナスとなり、全体の雇用の足を引っ張っている。特に、政府雇用の64.1%を占める地方が教員の削減などで1.8万人減少した。これからさらに財政支出を厳しくすれば、地方政府は雇用を絞り、米国経済の回復を妨げるだろう。

 

民間部門の雇用は5.7万人増加したものの拡大ペースは落ち、昨年5月以来の低い伸びとなった。雇用の先行性の強い派遣は1.2万人減と3ヵ月連続減となり、マイナス幅は09年6月以来の規模となった。派遣が3ヵ月連続で前月比減となったことは、7月の非農業部門雇用者のマイナスを予想させる。

いずれにせよこのような雇用の低い伸びでは、米国経済は本格的な回復軌道に戻ることはできない。労働力人口が1%程度伸びていれば、月間約13万人の雇用を作り出していかなければ労働供給を吸収することはできない。それ以下であれば失業率は上昇することになり、経済は低迷し、社会不安は強まることになる。

 

4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(20都市)は前月比-0.1%の微減だがこれで10ヵ月連続のマイナスだ。09年5月の住宅バブル後の最低を更新し、90年代の日本のような底なし沼の状態に陥ったように思える。最高値を付けた06年4月から31.8%下落し、約8年前の03年6月の水準に戻った。ピークから5年経過したが、下落はこれからもまだ続くだろう。不良債権の膿を完全に出し切るまでは、住宅価格の反転はあり得ない。公的企業に不良資産を抱えさせ、FRBが多額のモーゲージ担保証券を保有するという市場経済に悖るやり方では、米国経済はいつまでも足を引き摺りながら歩かなければならないだろう。実体経済と高値を保っている米株式との乖離は大きくなっており、1万ドル前後までの反落を覚悟しておく必要があるのではないか。 

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