Share |

自民党の政策は経済の縮小を加速させる

衆議院選挙で自民党が単独過半数獲得との報道機関の情勢調査などで、日本株は4週連続高で取引を終えた。安倍自民党総裁の金融緩和を拠り所に、マネーゲームに現を抜かしている。もし、自民党が単独過半数を獲得することになれば、増税、原発推進、憲法改正へと突き進み、アンシャンレジームに戻ることになる。旧体制が平和で住みよい社会を作り上げたかというとそうではなく政官財といった一部が甘い汁を吸う社会であった。政官財がさらに前に出ることになれば、反原発は押さえ込まれ、彼らは増税など痛くも痒くもなく、消費税をいくらでも上げるだろう。所得格差はますます拡大し、消費はジリ貧になり、日本経済は疲弊の度合いを強めることは間違いない。旧体制の成すことは、まさに日本経済の沈没を目論んでいるとしかみえない。自民党単独過半数が実現されれば、経済の縮小は一層加速し、日本株は売り込まれることになる。

原発ひとつ取り上げても、自民党は稼動させたくてうずうずしているのだ。政権を獲得すれば直ちに稼動させるだろう。地震の巣にこれだけたくさんの原発ある。大地震に襲われ、第2の福島やそれを上回る過酷事故が起こるとも限らない。そうなれば日本は壊滅状態に陥るだろう。そのような高リスクの原発を動かすことに、なにの疑問も抱かない国民がまだ多数を占めているとは、驚きである。地震で原発が過酷事故を起こし日本が崩れてしまうことになれば、株式など単なる紙屑になるだけだ。

 自民党が政権を取れば日本が危なくなるリスクは数段高まる。いまは、金融政策を餌に投機が蔓延っているが、その先を考えれば日本の国債や株式は怖い。土台が揺れることになれば、国債の格付けなど比較にならないくらいに日本リスクは高くなり、日本の国債や株式は見向きもされなくなる。

自民党政権の成立を前提に株式は買い進められているが、足元の経済指標は完全に売りシグナルを発している。株式はファンダメンタルズに目を瞑り、投機に支配されているのだ。10月の景気先行指数は前月比0.8%減と3月をピークに7ヵ月連続の低下となり、ディフージョン・インデックスも8月以降、3ヵ月連続の10%と経済の広範囲に不況が及んでいることを示している。

11月上中旬の輸出も前年比7.5%減と外需も引き続き弱く、製造業は一段と深刻になっていることが窺える。11月の景況判断指数(商工中金)は製造業が前月比1.0ポイント低下の40.3に対して非製造業は0.1ポイント上昇の45.7と製造業の悪化がはっきりとあらわれている。10月の製造業所定外労働時間は前年比6.8%減と3ヵ月連続のマイナスとなり、4月のプラス16.8%から急速に悪化している。所定外労働時間の減少により、製造業の現金給与総額は10月、1.3%減と2ヵ月連続の前年割れとなった。輸出減による製造業の収益悪化が、製造業の給与を減らし、それが非製造業の売上にも影響するだろう。

「法人企業統計」によると、今年7-9月期の製造業の売上高は前年比5.6%、営業利益は9.9%それぞれ減少した。設備投資は0.5%とプラスを維持したが、収益悪化に伴い削減や繰り延べの動きが予想され、下期はマイナスになるだろう。大企業製造業の営業利益は前年比-7.8%と7四半期連続減と不振である。

欧州委員会は今年と来年のユーロ圏実質GDP成長予測を今年9月より下方修正した(2013年は9月の-0.4%~1.4%から-0.9%~0.3%へ)。また、ブンデスバンクも2013年の独実質成長率をこれまでの1.6%から0.4%へと大幅に下方修正し、来年もユーロ圏経済は厳しい状態が続きそうだ。10月のユーロ圏小売売上高は前月比-1.2%と3ヵ月連続減となり、しかもマイナス幅は拡大。なかでもドイツは2.8%も落ち込み、ユーロ圏経済の深刻さを裏付けている。

財政規律を強めれば強めるほど、ユーロ圏経済は後退から抜け出すことが難しくなる。当然、日本のユーロ圏への輸出は減少し、輸出依存度の高いアジア各国も困ることになる。景気が後退しているときに、財政を削減するのは、景気後退を深刻にするだけである。ECBが買いオペをいくら増額したところで、財政支出を削減すれば、景気は良くならない。

11月の米雇用統計が週末に公表されたが、非農業部門雇用者は前月比14.6万人増加し、10月よりも8千人拡大した。ただ、10月分を3.3万人下方修正しており、11月も修正されるだろう。非農業部門雇用者は2010年2月の底から396.7万人増加したが、ピークの08年1月に比べると414.4万人少ない。過去3ヵ月平均の雇用者増加のペースで過去のピークに到達するには約30ヵ月かかり、1,200万人の失業者は800万人に減少することになる。ただ、平均週賃金は前月比0.2%、前年比1.7%と物価上昇率を下回っており、消費支出の伸びは期待できない。雇用の拡大も緩やかなものにとどまるのではないか。

11月のISM製造業指数が49.5と3ヵ月ぶりに50を割るなど、米製造業は回復とはいえない不安定な状態にある。オバマ政権は財政政策を進めたいが、その前に共和党が立ちはだかり、財政の拡大を阻もうとしている。金融政策だけに依存し、財政出動を図ることができなければ、ユーロ経済のような政策不況に米国経済も陥るかもしれない。 

関連資料サイズ
121210_.pdf399.38 KB