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連日の最高値更新でバブル膨らむ米株式

2月9日のトランプ大統領の発言以降、24日まで11営業日連続でNYダウは過去最高値を更新。これは1987年1月以来30年ぶりであり、前年比では26.3%もの上昇である。NYダウは高騰しているが、前週比、米10年債利回りは低下し、商品市況も弱い。円ドル相場は円高、ユーロドル相場はドル高とまちまちであり、株式だけが強い。1987年といえば、10月19日のブラックマンデーを思い起こさせる。政権が変わり、口先だけで11営業日連続最高値更新という異常な上昇だけに、期待が失望に変われば、その反動は大きくあらわれるだろう。
米消費者物価が上昇してきていることから、実質金利はマイナスになり、こうした事態を避けるためにもFRBは政策金利を引き上げると思う。実体経済もFRBの目標に達しているため、3月14日・15日開催のFOMCで利上げに踏み切るかもしれない。いずれにしてもFRBの姿勢は利上げなのである。これまで利上げ速度が遅すぎたため、株式のバブルを招いてしまったのだ。
ゼロ金利と超低金利の長期化や債券再投資によるFRBバランスシートの肥大持続は、11日連続でNYダウが過去最高値を更新するなど、米国経済を歪めている。2月22日時点のFRBのバランスシートは4.46兆ドルとピーク比微減であり、膨れたままである。つまり、米国の金融政策は依然異常な状態にあり、この異常な金融政策によって米国経済は保たれているのだ。異常な金融政策の支えがなくなったときに、米国経済はどうなるのだろうか。
異常な金融政策の下で、異常な政治が始まり、米国は歴史的に予測不可能な時代に入ったといえる。トランプ大統領はこれまでの金融財政政策などは、これっぽっちも頭にないのではないか。あるときあるところで彼が気づいたことを反射的に取り上げるだけで、総合的に見るということはない。民間企業の上司が思い付きで指摘・発言するのと同じである。その場その場の雰囲気の中で思いついたことを口走るのだ。基本的な考えは米国第1主義というナショナリズムに尽きる。これに引っかかるものはすべて排除する。祖先が移民でありながら、特定の国の移民を嫌う。移民がいなければ米国経済は成り立たないが、そんなことはお構いなし。まったく、自分勝手な考えの持ち主である。そのような性格を持つ人が大統領になったことを今さら嘆いてもはじまらないが、反トランプ勢力が拡大して、対抗するしかない。
米企業利益は1桁の低い伸びでありながら、株価が高騰することは、株式が割高になっていることをあらわしている。株価収益率も上昇してきており、いつ米株価が下落してもおかしくない。政策金利がゼロに近いときに、株式の暴落が起こると金融政策ではどうすることもできない。トランプ大統領の気まぐれな発言がマイナスに効き始めると収拾がつかなくなるかもしれない。米株式はまさに薄氷を踏むような状況にあるのではないか。
名目GDPと株式価額を比較しても、現時点では株式価額が名目GDPの2.18倍になっており、過去最高を更新したようだ。ITバブル期の2000年3月末に2.01倍とはじめて2倍を超えたが、その後のバブル崩壊で1倍まで低下した。が、政策金利の1%までの大幅な利下げに伴い、不動産バブルが発生、2007年9月末には1.81倍へと上昇した。サブプライム問題による金融恐慌が株式の収縮を引き起こし、2009年3月末には0.92倍まで低下した。1倍割れは1995年6月末以来14年ぶりである。だが、足取りの弱い実体経済に対して、ゼロまで引き下げた超金融緩和策により、株式は実体経済を上回る上昇を示し、2014年9月末には2.017倍と14年ぶりに過去最高を更新した。2015年3月末には2.11倍と過去最高を更新したけれども、その後やや低下していた。が、株式の過去最高値更新により、現時点では最高を更新した模様である。
実体経済に対して株式が大きくなればなるほど株式バブルも大きくなっているのだ。株式が実体経済とのバランスを極端に欠いている状態で利上げ姿勢を強めれば、株式バブルの崩壊は一気に進むだろう。そのことが気掛かりなFRBは言質を取られないように、金融政策の運営は慎重である。
FRBは「雇用と物価」を呪文のように唱えているが、今、「雇用や物価」は大きな問題ではない。ほぼ達成されている。最大の問題は実体経済に比べて著しく拡大した金融経済をいかに処置するかだ。0.5%のFFレートと4.46兆ドルの総資産をどのように操るのかと言い換えても良い。
金融操作を引き伸ばすことになれば、金融バブルは大きくなるばかりだ。そして所得格差や資産格差は拡大し、個人消費は伸び悩むことになるだろう。所得・資産格差拡大をこれほど大きくした一因にFRBの金融政策を挙げることができる。他方、利上げを急激に行なえばバブル崩壊に繋がり、経済は混乱することになる。
極端は利下げや大規模な国債購入を行なえば、正常な状態に戻すことが、極めて難しくなるということである。しかも金融政策の実体経済に及ぼす効果はそれほどでもない。中央銀行が貨幣を金融機関に供給すればすべてがうまくいくというのはお伽噺である。そのような世界はどこにもないのだ。マネタリストの頭の中だけにある物語なのである。

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