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高慢ちきな関電経営者

福島第1原発の過酷事故で放射能を放出し、福島を非居住地域にしても、経営者は「無罪」となるなんとも納得しがたい判決が出たかと思うと、今度は、福島第1原発後から7年間、関電経営者は原発立地の高浜町元助役から3.2億円の金品を受け取っていたことが明らかになった。電力会社はどこまで社会的な通念が欠落しているのか、また、一般の常識から掛け離れた組織であり経営者なのかを改めて思い知らされた。

福島第1原発の事故などどこ吹く風といったところか。俺たちは原発をなにがなんでも稼働させるのだ、放射能や核廃物などなんでもないと言いたげだ。電気がなければ社会活動は止まってしまうのだから、俺たちの言うことを聞けとはあまりにも高慢ちきである。

民間企業ではあるが公共的性格の強い電力会社が、思慮分別に欠ける経営者をトップに据えるという組織的欠陥を放置してきたことの責任は極めて重い。どの企業にも経営者になるには不適当な人がいることは避けられない。だから、そういう人が経営者にならないような組織を作らない限り、永遠に悪徳経営者があらわれ続けることになる。

文科省から電力会社まで大人社会が道徳的に退廃していれば、子供たちは、道徳を教えなければならないのは、むしろ、官僚や経営者ではないかと白い目で見ている。義務教育に道徳が導入されているが、道徳など教えるものではないし、そもそも、教えることなどできないのだ。授業で教えることができるのであれば、なぜ、これほど次から次へと高等教育を受け責任ある立場の人が、道徳の道を外すのだろうか。

官僚主義的な電力会社ではトップは絶対君主のような権力者だ。このような組織ではトップに直言するような人はだれもいない。すべて鞄持ちなのである。企業には戦前の日本社会と同じようなシステムが永らえているのだ。戦後、日本は民主主義に180度変わったが、株式会社には独裁主義がそのまま存続していると言ってよい。労働時間、非正規雇用、男女格差、休暇等一向に改善しないのは、独裁によって組織が硬直化しており、本当に大事なことは俎上に上がらないからだ。覇道がまだ蔓延っている。

あれだけの大事故を起こしてもなお原発を稼働させたい東京電力も同根である。大元のところでは福島第1原発の事故を反省していないから、いまだに原発を推進するのだ。一旦、事故が起きればお手上げで、すぐに国に助けを求める。人間の成長でいえば、幼児の段階のままだと言える。あるいはよほど図太い神経の持ち主の集団なのだろう。自らに降りかかる原発批判にはまったく聞く耳を持っていないと言った方がよいのかもしれない。自分たちの経営の都合を最優先、原発事故で社会を道ずれにすることも厭わないのではないか。電力会社はトランプ大統領以上に質が悪い。

地球の約50億年の歴史から過去千年、二千年を振り返って調べたとしても、ほとんどなにも言えないのではないか。特に、雨、風、地震など自然にかんすることはなにが起こるかだれもわからないことなのだ。経済的な人間が関わる分野でさえ予測が当たることは稀であり、しかも何年も連続して的中することは至難の業だと思う。

どのくらいの規模の地震がやって来るのかは、予測不可能であり、津波もしかりだ。ただ、日本は地震国で頻繁に地震が起こることはわかっている。日本列島は急峻な崖の上に乗っかっているので、地殻わずかな動きでさえも、大地震に成り兼ねない。

そうした危険極まりない狭い国土に原発がひしめく異常な国である。しかも、原爆で廃墟にされた過去を持つ身でありながら、躊躇なく原発に手を染めるという間違った判断を下した。

原発の平和利用という甘い文言に騙されて、大都市から離れた人口希薄地帯が選ばれ、原発は建設された。過疎地に原発が建設されるに際しては、札束が威力を発揮したそうだ。電力会社から町の有力者へ原発マネーが渡り、それが、地域にばらまかれ原発容認が醸成されていった。

今回は町の有力者から電力会社の経営者に金品が渡されたが、その逆に動いた金も計り知れない。福島第1原発事故後、高浜原発が止まり、財政が厳しくなるという事情が、早期再稼働を目的に電力会社への金品攻勢となったのではないだろうか。

今回の関電経営者の金品授受は、過去に遡れば、それぞれの電力会社も身に覚えがあるのではないだろうか。過疎地を取り仕切る有力者をなんとか囲い込み、ボスに賛成させ、そこから原発建設を一気呵成に推進する。こういった原発推進方法は過疎地の小さな村や町では常套手段なのだ。日本の村町に今でも残る封建的なタテ社会が、原発の建設を可能にさせたのだと思う。

巨大企業と過疎地域の村町では所詮力関係では話にならない。力づくで原発を推し進めた結果が福島第1原発の過酷事故であった。国が原発を推進するのでは打つ手はなかった。起こるべくして起きた事故なのである。

原発は、CO2は排出しないが、放射能を撒き散らし、核廃物の処理という大問題を抱えている。さらにエネルギー変換効率は約3割と火力発電を大幅に下回る。原発で発生する熱量の約7割は無駄になり、海などに放出されており、自然環境にダメージを与えている。

国からの東電への支援額は11兆円を超えた。これからいつまで掛かるかわからない廃炉にどれほどの資金が必要なのだろうか。どぶに捨てるような金が今も廃炉に投入されている。デブリを取り出すという夢物語を追い求めて行けば、廃炉作業は永遠の作業となる。日本独特の曖昧な思考が、間違った方法を変えることなく、二進も三進も行かなくなるまで続行させるのだろう。

 

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