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物価が上がることは需要が強く、売上も伸びており、物価が軟調なときには、需要が弱く、売上も低迷しているからだ。こうした関係がいまは成立していないのである。2018年初をピークに物価上昇率は低下しつつあるにもかかわらず、株価が上昇しているのだ。ゼロ金利の持続、過去最高値を更新している米株、それに伴う外人買い、さらに日銀の上場投信買い等の要因によって、デフレ下での株高現象が起こっている。だが、デフレ下では企業収益の悪化は必至だ。コロナ禍の収束に数年を要することになれば、企業の体力も落ち込み、収益は大幅に収縮するだろう。そのような見通しが徐々に拡大していくことになれば、投機家たには、手のひらを返したような行動を取らないと言い切ることはできない。常に、株式は期待という不確かな要因を頼りにしており、綱渡りをしているようなものなのである。来年も綱渡りが続くのかどうか、目を凝らしていきたい。

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1980年代の金融政策の失敗を日銀が真剣に反省しなかったことが、再びバブルを引き起こしているのだ。しかも、当時の水準に輪をかけて低いゼロ金利を延々と続けている。ゼロ金利だけでなく、大規模な国債買いにより、国債もバブル化しているのだ。さらに、諸外国では手を出していない、禁じ手とされている株式購入にのめり込んでいる。このように何でもありの政策によって、株式だけでなく国債や商業地などもバブル化しているのである。

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第2次安倍内閣発足の2012年度から2019年度までの8年間の累計配当金と社内留保は161.1兆円、200.9兆円と異常な儲けぶりを示している。現在の預金利率は普通預金で年0.001%、定期でも年0.003%とゼロに近く、利息はなきに等しい。それに対して、2019年度の配当金は24.3兆円、国民一人当たり20万円弱となり、先般の給付金の2倍の規模なのだ。もし、2019年度までの8年間の累計配当金を国民に分配すれば、一人128万円になり、消費を刺激することになるだろう。だが、これだけの巨額配当金は一部の富裕層の懐を潤すだけで、庶民には縁がないのである。だから、富裕層の資産はますます豊かになるが、消費支出の拡大を伴わないので経済には寄与しない。寄与するのは株式などのマネーゲームの世界だろう。ゼロ金利の罪は重い。

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11月24日、NYダウは3万ドルを突破した。2017年1月25日に2万ドルを超えから3年10カ月の短期間で3万ドルの大台に乗せた。1万ドルから2万ドル超には約18年を要している。ワクチンが期待通り効果を発揮し、経済が正常化すると仮定しても、これから米国経済が過去10年間よりも高い成長を遂げることは難しい。ナスダック総合は昨年末を36.0%も上回っており、経済的要因で米株の高騰を説明することは不可能だ。FRBのゼロ金利が米株を狂わせてしまったのである。

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第2次安倍政権が発足する2012年9月と2020年9月の一般労働者現金給与総額を比較すると、今年9月が2012年9月を3.2%上回っている。8年間で3.2%、年率では0.4%にすぎない。調査産業計では3.2%増だが、16業種中2業種は8年前を下回っており、業種別最低の「宿泊、飲食サービス業」は3.7%減だ。現金給与総額トップの「電気、ガス」は3.6%増加していることから、最高と最低の格差は2012年9月の1.69倍から2020年9月の1.82倍に拡大した。こうした大きな給与の格差が現存する限り、格差に相応しい支援が必要なことは言うまでもない。

所得税・住民税の最高税率を1970年代以降引き下げる半面、1989年の消費税導入とその引き上げ、さらに1985年の労働者派遣法の成立などによる意図的格差拡大政策が今日の所得・資産格差をもたらし、多くの国民を、消費支出を抑制しなければ生活できない経済状態へ追い込んでいるのだ。こうした格差拡大を是正するには、所得税、消費税さらに法人税を1970年代、1980年代の水準に引き上げていく方法しかないだろう。

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世界的に新型コロナ感染者数が過去最多を更新しつつあるなかで、S&P500などの米株価は過去最高値を更新している。感染を防ぐワクチンの開発が報じられたことによって、一斉に株式買いに動いたからだ。だが、さまざまに変異しているウイルスに有効なワクチンが1年にも満たない短期間で開発できるのだろうか。株式はあまりに先走りすぎである。

もし1年後に、有効なワクチンが接種できるのであれば、世界経済の回復は確実となり、今から債券利回りは上昇しておかしくないはずだ。が、米債券利回りは週間、8ベイシスポイントの上昇にとどまっている。日欧の債券相場も、株式が燥ぐような様子は認められない。株式も債券も共に、経済の先行きを睨みながら値付けが行なわれるのだが、開発中のワクチンに対する評価は株式と債券では相当異なる。一体、どちらが正しい判断をしているのだろうか。

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バイデン氏が勝利できたのは新型コロナにより、経済が急降下し、失業率が跳ね上がったからだ。低下したとはいえ、10月は6.9%と高水準であり、高失業率のときは現職が負けるケースが多い。新型コロナの発生がなく、経済と雇用がこれほど悪くなかったならば、トランプ大統領が2期目も継続していたであろう。新型コロナの人間界への出現がバイデン大統領を誕生させたことは間違いない。成功するには運根鈍が重要だが、バイデン氏は特に運に恵まれていた。バイデン大統領誕生は、新型コロナからの米国民への贈り物とも言える。

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ゼロ金利やトランプ大統領の強力な支援がバブルと言えるまで株式を押し上げてきたが、こうした最強の株式振付師も舞台から去ろうとしている。2019年までの10年間でNYダウが年間で下落したのは、2015年と2018年の2回であり、しかも下落率は2.2%、5.6%といずれも小幅である。その結果、2019年末と2009年末を比較すると2.73倍となっており、名目GDPの1.48倍をはるかに上回っている。株式至上政策遂行の成果と言えるが、こうした無謀な政策によって持ち上げられた株式は早晩、崩れ落ちるだろう。

FRBは株式を軟着陸させようと策を練るだろうが、最後は日銀のように、株式を直接購入する方法しかない。そこまで行けば、米資本主義の終焉となる。FRBによる株式購入の影響力は日銀の比ではなく、中央銀行の株式介入を推し進めることになるかもしれない。

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利回りの上昇の最大の痛手を被るのはFRBや日銀だ。今年6月末、日銀の国債保有額は521兆円、保有比率は44.5%である(10月20日現在での保有額は531兆円なので保有比率は幾分上昇)。日銀保有の10年債利回りが0%から1%、FRB保有の同債券が1%から2%に上がれば、値下がりによる損失額はそれぞれ10%程度(すべて10年債と仮定)となり、FRBと日銀で計約100兆円が吹き飛ぶことになる。バランスシートは著しく毀損し、FRBや日銀に預けた金融機関の資金などが焦げ付くことになる。いつまでも債券を買い続けることもできず、さりとて債券購入額の縮小や停止となれば、自らの首を絞めるというジレンマに陥っている。

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非正規雇用の賃金は低く、当然、貯蓄も正規に比べれば少ないだろう。『民間給与実態統計調査』(国税庁)によれば、2019年の非正規雇用の年平均給与は174.6万円だが、正規は503.4万円であり、非正規は正規の34.7%に過ぎない。第2次安倍政権が発足した2012年の同比率は35.9%、7年で1.2ポイントの低下だ。非正規の給与の伸びは正規より低かったということである。そうした非正規雇用の解雇は直ちに生活を成り立たなくする。そういった不安定極まりない脆弱な社会を安倍政権は作り上げたのだ。

賃金は安くかつ解雇されやすい非正規雇用が増加すれば増加するほど、一旦、深刻な不況になったときには、景気の谷はより深くなるし、景気回復のための公的支出は大きくなるのである。補正で160兆円の一般会計予算を成立させても、日本経済に然したる変化がみられない一因として、低賃金の非正規雇用の増加を挙げておきたい。

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今年1月~8月に、勤労者世帯の消費は前年同期よりも約5兆円減少した。飲食、宿泊など苦境に陥り、立ち行かない店も出てきている。できるかぎり経済的苦痛を少なくする方法を考えなければならない。だが、今までのようにレストランで頻繁に食事をし、出来合いを求め、飲み屋に行き、旅行にも出かけるという生活スタイルはできなくなるのではないか。多くの粗原料を海外に頼る日本には日本風の生活があるはずだ。日本風の生活からかなり逸脱した生活をしていたことが、日本の経済を欧米以上に悪化させたのではないだろうか。なんでも取り入れる日本人の習性が、受け入れ過ぎて受け入れる範囲を超えてしまったように思う。

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日本の資本財生産は米国やユーロ圏よりもより深刻である。7月のユーロ圏の資本財生産は前年比-10.4%であり、最悪の4月の-41.0%からマイナス幅は縮小しつつある。8月の米資本財生産は前月比1.9%と4カ月連続の前月比プラスとなり、4月の底からは30.3%回復し、今年2月以来の高い水準に戻っている。

日本の民間最終消費支出の対GDP比率は、第2次安倍政権が発足した2012年度の58.8%から2019年度には55.1%に低下し、民間設備投資の比率は14.5%から15.9%に上昇した。こうした設備投資型の経済構造が、欧米よりも不況期の景気の谷を深くしている原因なのである。安倍政権の負の遺産のひとつと言える。

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新型コロナの感染者数が700万人を超え、死者も20万人を突破している世界最悪の米国が、なぜユーロ圏や日本の経済よりも回復力が強いのだろうか。また、日本経済はユーロ圏よりもなぜ良くないのか、不思議である。訪日外国人観光客の急増によって、宿泊、飲食などがバブルを引き起こし、特需ともいえる需要のあっけないほどの突然の蒸発が、日本経済に大打撃を与えたからだろうか。

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日本にとって一番深刻な問題は「人口減」と「高齢化」である。「規制緩和」や「構造改革」を唱えてきたが、この一番の課題に対してはまったく無力であった。2012年の自然増減数は21.9万人減であったが、2019年には51.5万人と安倍政権下で2倍以上に減少幅は拡大した。人口減と高齢化は喫緊の課題だとは言うが、人口は首都圏に集中、地方の過疎化は加速している。東京都の合計特殊出生率は1.15(全国1.36)と都道府県で最低である。人口が最大であり、しかも最大の人口流入超である東京都の合計特殊出生率が最低であることが、人口減に拍車を掛けている。これまでの「規制緩和」と「構造改革」が日本の問題をさらに大きくしているのである。

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新型コロナも油断できないが、米株も不気味である。日本経済は米国の影響を受けやすく、株式などは瞬時に伝わる。2008年の米発金融恐慌は日本経済を痛めつけた。株式暴落と円高に日本経済は翻弄されたが、これらの教訓は活かされることはなかった。

株式は実体経済に見合う水準近辺にあれば、それほどの急落は起こらないが、社会主義経済並みの国家介入によって価格形成は歪められてしまった。だから、何らかの外部からのショックを受けると、株式は異常に反応することになる。適正な価格付けが行なわれてこなかった付けが回ってくるのだ。新型コロナに株式崩落が加わることになれば、国民の暮らしは苦しさを増すことは間違いない。これまでの道理をわきまえない様々な安倍政権の政策の矛盾が噴き出してくるのである。

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8月28日の安倍首相の辞任表明、それに伴う後任候補選びと政治の舞台は大きく変化すると期待されていたが、菅官房長官と二階自民党幹事長の密かな会談で幕を閉じてしまった。内閣のスポークスマンが首相の座に座ることは日本では過去にもみられたが、首相と官房長官では仕事の中身が違う。安倍首相も官房長官経験者だが、在任期間は1年にも満たなかった。暫定政権などと揶揄されているが、新型コロナによる戦後最大の不況下にある日本の舵取りを、代弁者の仕事をしてきた人に務まるだろうか。はなはだ疑問である。

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政府が定額給付金を全国民に給付しているが、大半は貯蓄に回り、消費を底上げする効果は期待外れに終わった。貯蓄は金融機関に預けられ、金融機関の預金は日銀当座預金に向かい、日銀はそれで金融機関保有の国債や上場投信を購入する。大量発行の国債を消化するための役割を定額給付金は担った、と見て取れる。

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2020年4-6月期の米国とユーロ圏のGDPが公表された。いずれも統計を取り始めてから最大の減少となった。新型コロナがこれほどまでに経済に深刻な影響を及ぼすとは、当初、ほとんどの人は思っていなかった。ウイルスを侮っていたのである。

現在、人間がこの世に実在していることにウイルスの存在は欠かせないが、今回のように、われわれの命までを奪う働きをしてしまう。しかも皮肉なことに、世界経済の中心をなす米国でウイルスが蔓延しているのである。ウイルスにとって米国は住み心地がよろしいということなのだろうか。米国が最大の感染国になったことの原因のひとつに、所得・資産格差の拡大を挙げたい。歪な米国経済への鉄槌ともいえるのではないだろうか。

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欧米に比べて、日本は感染者も死亡者も少ないにもかかわらず、経済活動はより低調なのである。それは日本が欧米よりも自粛がより広く行き渡っているからだろう。良くも悪くも日本人の集団主義が自粛を徹底させているのだと思う。古くからの「和を以て貴しとなす」との格言が日本人の生活のなかに生き続けているのだ。ほとんどの人がマスクを着用していることだけを取り上げても、他人と同じ行動を取る志向が異常に強く、他人と異なる行動には極めて慎重だという日本人の特徴が表れている。

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不況期でも比較的安定している民間最終消費支出の割合が高ければ、景気の振幅は小さくなるが、その比率が低く、民間企業設備の比率が高ければ、景気の波はより大きくなる。民間最終消費支出の比率が低く、民間企業設備の比率が高い今、不況下にあることは、景気の谷がより深くなることを示唆している。

巨額の財政赤字による景気刺激策も10兆円をはるかに超える民間企業設備の急落を補えるものではない。長期化する新型コロナへの備えや雇用不安などから消費者購買意欲は低下してきており、超過貯蓄が減少しながらGDPの縮小が始まっている。公的支出による投資水準の引き上げが、超過貯蓄をどの程度吸収できるかに経済の行方は掛かっていると言える。

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株式は国家、FRB、企業、市場参加者すべての合作となり、投機を鼓舞する舞台が整っているのだ。投機に歯止めを掛ける主体はどこにもいない異様な世界になってしまった。全員参加型だから、それほどの不安をいだくことなく、株式に深入りできているのだ。株式に没入すれば投機であることさえわからなくなり、正常か異常かの区別さえつかなくなってしまっている。

「企業が投機の渦巻のなかの泡沫となると事態は重大である」(ケインズ、『一般理論』)が、現下の事態は、企業だけでなく国からFRBまですべてが「投機の渦巻のなかの泡沫」に成り得るという歴史的な危機を作り出した。しかも米国だけでなく日本や欧州の中央銀行も投機を助長し、自らも泡沫になるかもしれない非常に危うい立場に置かれているのだ。今の株式はまさに空中楼閣なのである。

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2019年度までの国債発行額の最高は2009年度の51.9兆円だったが、今年度は90兆円超と2009年度を38兆円も上回る。これほどの大規模の国債発行が可能なのだろうか。M3の年間増加額でさえ60兆円に届いていない状況でいかに消化していくのだろうか。民間金融機関が購入できる規模は最大でも50兆円程度であり、これが限界である。日銀は新発の購入はできないので、民間金融機関が90兆円を購入するほかないが、そのような余力は民間金融機関にはない。

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24日、IMFが最新の世界経済予測を発表したが、それによれば2020年の世界経済成長率は-4.9%と4月予測の-3.0%から1.9ポイントの下方修正である。先進国に限れば-8.0%と大きく落ち込む見通しである。米国は-8.0%だが、もし米国経済がこの予測のように推移すれば、金融崩壊期の2009年(-2.5%)をはるかに上回り、第2次大戦直後の1946年(-11.6%)以来74年ぶりの深刻な不況になる。FRBが6月10日に公表した2020年の米GDP予測(-7.6%/-5.5%)に比べてもIMFのマイナス幅は大きい。

世界の総名目GDPに占める米国の割合は24.6%であり、世界1の規模である。日本は5.9%と米国に比べれば、ウエイトは低く、世界経済への影響力も小さい。仮に、今年の米GDPがIMFの予測通り8.0%も落ち込めば、米名目GDPは前年比1.7兆ドル減少することになり、世界経済を約2%引き下げることになる。

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